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カンピオーネ!5人”の”神殺し
【魔界】での戦い U
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って世界中に知らされている。言ってしまえば、彼女はカンピオーネの所有物である。彼女に手を出すなど、自殺行為もいいところだ。ヴォバン侯爵はいいだろう。彼は、【混沌の王】と決定的に対立しても構わない・・・どころか、それを願っているのだ。ほんの僅かな期間で、三柱ものまつろわぬ神を倒した最新の王。最近ではまつろわぬ神にすら避けられるヴォバン侯爵にとって、手ごわい敵とはいくらいても構わない。

 だが、命じられたリリアナは違うのだ。彼女には組織に対しての責任がある。わざわざ、【伊織魔殺商会】と【混沌の王】が治める日本へとやってきて喧嘩を売るなど考えられない。彼らの怒りを買えば、【青銅黒十字】のあるミラノなど、片手間で蹂躙されるかもしれない。転移を使う鈴蘭がいるのだ。今、この瞬間に国が滅ぼされても不思議ではないのである。彼女には、こうなることが分かっていてもヴォバン侯爵の側仕えをしろと命令してきた祖父が、正気とは思えなくなっていた。

 そうなったとき、ヴォバン侯爵やドニが、国を守るかもしれないなどという甘い考えを彼女は持ってはいないのだ。仮に戦うとしても、それは好敵手を見つけたからであり、周囲の被害など一切考えないに違いない。

 もし仮に、この国のカンピオーネが草薙護堂一人だったなら彼女の考えも変わったかもしれない。短い期間に三柱のまつろわぬ神を倒したとはいえ、三百年を生きるヴォバン侯爵とは年季が違いすぎる。護堂が彼に勝てるはずがないだろうし、それならば、周囲の人々に与える影響が最も少ないであろう手段―――つまり、万里谷 祐理の誘拐―――を選択していたかも知れない。少数を犠牲にしてでも、それより多い人を守るのが騎士としての役目だと信じて。

 しかし、現状は全く違うのだ。【伊織魔殺商会】は四人のカンピオーネからなる結社だし、それに草薙護堂が協力している。対するヴォバン侯爵とサルバトーレ・ドニは過去の一件から協力するなど考えられず、バラバラに戦うだろう。いくらなんでも、5vs1vs1では、勝ち目があるとは思えなかったのだ。

 この状況下だからこそ、リリアナは裏切りを決意した。元々気に食わない命令であったし、周囲の被害なども考えれば、これが最善だと判断したのである。最悪の場合は、この国のカンピオーネの庇護を求めようとすら決意していた。

 【混沌の王】の眷属を守る為に戦うのだ。それは彼に味方するという意思表示になるだろう。草薙護堂という男は、酷い女たらしでドン・ファンのような男だが、それと同時に困っている人がいるなら極力助けようとする男だとも調べがついていた。無碍に扱われる事はないだろう、と彼女は予想していた。

(―――まあ、何らかの手違いで殺される事になろうと・・・このまま自分のココロを裏切って生きるよりはマシだろう・・・)

 だ
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