第九話
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ね」
「俺の自慢の従姉だよ。んで、どんな御用で?」
「ああ、うん。こっちよ、ついてきて」
そういうとテンは学校とは反対方向に歩きだしたので、まあ答えの想像はついているものの問いかけてみる。
「サボり?」
「ええ、サボるわよ。授業休むと単位が危ない、とかなら待ってもいいわよ?」
「んー、いや、大丈夫だ。そんなギリギリなわけでもないし、かといって皆勤なわけでもない」
「ん、なら大丈夫ね」
そう言うと再び何の迷いもない歩調で歩きだしたテンを追うように少し走って、隣に並ぶ。パッと見はデートに見える状況なのかもしれないけど、おそらくそうではない。おそらく、というかもしそうじゃなかったとしても俺のほうから、昨日のことについて聞くつもりだ。
『夢と違うことをするなよな』と書かれていた手紙に、あの発言。そしてその通りにしたら巻き込まれたよく分からない事件。これらのことから、関わりがないわけはない。
そんなテンの横について無言で歩いて行くと、俺たちの横を黒塗りの車が通り過ぎて行き、少し先で止まった。やたら大きく、後部シートにはスモークが貼られていてと、なんだか今にもおっかない人が出てきそうな感じだ。
「……なあ、回り道していかないか?このあたりの道がわからないなら、目的地さえ言ってくれれば何とかなるだろうし」
「別に大丈夫よ。あれ、うちの車だから」
「……へ?」
「目立つし警戒されるし、他の車にしてほしいって何回も言ってるんだけどね……聞いてくれたためしがないから、もう気にしないことにしたわ」
本当に小さくため息をついたテンはそのまま近づいて行き、運転席から出てきた人が開けてくれたことろに乗り込む。その際に一言「ありがとう、じい」と言っている。もしかして執事か何かだろうか?
「えっと……スイマセン、おじゃまします」
「どうぞ」
とはいえ、俺からすれば初対面なので一度頭を下げてから乗らせてもらう。ガッチガチに緊張しているであろう俺に対してもその柔和な表情を崩さないあたり、やはりプロだ。
その執事さんが運転席に戻って車を発進させるが、それも外の景色を見ていなければ気付かなかったであろう程の静かさ。車の中にもさまざまなものが付いていて、もう本当に別の世界だ。
「はい、紅茶。飲めなかったりするかしら?」
「あ、いや。大丈夫。頂きます」
いつの間にか差し出されていたカップを受け取り、冷めないうちに一口頂く。俺でも普段飲んでいるものとは全くの別物だとわかるほどのもので、再び驚いた。
「面白いくらいコロコロと表情が変わるわね」
「あ、ああ……もう、驚きの連続すぎて。えっと、話は?」
「もうちょっと待って。それと、もう三枝さんに欠席するってことは伝えてあるから、誰かに連絡、と
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