9と3/4番線からの旅・前編
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またあとでな」
双子はコンパートメントの戸を閉めて出ていった。
再び三人だけになった時、おもむろにロンが聞いた。
「君、ほんとにハリー・ポッターなの?」
ハリーが前髪を掻き上げて稲妻の傷跡を見せると、ロンはそれを食い入るように見た後、クレス達の方を向いた。
「それに……エシャロット、マッキノン、ゴズホークってことは君達も……」
「そ。両親がいなく三人ともある人に引き取られた身の上だ。まあデリケートな内容なんであんまつっつかないでくれ」
「うん、わかった」
ロンの質問が一段落すると、今度はハリーがロンに質問する番だ。
「君の家族はみんな魔法使いなの?」
ロンは3人に色んなことを語った。ウィーズリー家はクレス達と同じく古くから続く由緒正しい魔法族だということ、ロンには兄が五人もいて、みなそれぞれ別な方向に優秀なので、自分が期待に応えるようなことをしたところで兄達の二番煎じになってしまうこと、そして自分のものはみんな兄たちのお下がりばかりだということ……などなど。
ロンは上着のポケットからぐっすり眠った太ったねずみを引っ張り出して、これも兄のお下がりなのだと嘆いた。
その時にアレクが何か腑に落ちないような表情をしたが、すぐに元に戻ったため誰も気にしなかった。
喋り過ぎたと思ったのか、やがて耳元を赤らめ、また窓の外に目を移したロンに、ハリーは何も恥ずかしがることはないと話しかけた。
マグル−それも魔法族に強い偏見を持った−に育てられたハリーだって今まで身につける物は全ていとこのお下がりだったし、誕生日にはろくなプレゼントをもらったことがない……などなどを話すと、ロンは少し元気を取り戻した。
ちなみにクレス達は引き取り手のルーチェに何不自由無く育てられた上、それぞれがかなりの名家のため資産もそれなりに残されていたこともあり、下手に二人の不幸話に関わってもろくなことがないので聞き役に徹していた。
ホグワーツへの道のりはまだ始まったばかりである。
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