第18話〜矜持と気品〜
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ーカーフェイスには自信のあるケインだが、今日ばかりは分が悪かったようだ。
「で、でも・・・教官に迷惑をかけるわけにはいきません」
「中途半端なコンディションでテストを受けられる方が迷惑よ」
「・・・そう、ですよね。すみません」
教官の言うことももっともだと気落ちするケインを見て、少々きつい言い方だったかと罪悪感が募ったサラだが、今朝、何があったのかと尋ねて話題を転換する。
「リィンの話では何かを叫んでたのよね?・・・私への、求愛行動だったりするのかしら?」
「・・・無理」
「ちょっと!無理って何よ!?」
先ほどのシュンとした態度とはうって変わり、侮蔑にも似た視線を向けて質問を一蹴する。
「ふふん♪ケインだったらいつでウェルカムよ」
「中年男性はどうしたんですか?」
「ケインはと・く・べ・つ・よ」
(そんな事実は聞きたくなかったな・・・)
ハイテンションなサラとは対照的に、がっくりと肩を落とすケイン。彼女は基本的に飄々としていて冗談か本気か分からないので余計にたちが悪かった。そんな彼らの一連のやり取りをアザーメンバーズは苦笑して見ていた。そんなことよりも時間は大丈夫なのかと尋ねるケインに、ラウラが微妙にぶっきらぼうに「そなたが気を失っていたのはほんの数分だ」と教えてくれた。
「意識が飛ぶ前に聞こえたのってラウラの声、だよな?」
「・・・それがどうかしたのか?」
「すまない。心配をかけてしまったかな?」
「ケインが無事だったなら、それで良い」
「ラウラ・・・」
微笑を浮かべながらお礼を言うと、ラウラに目をそらされてしまった。
「??とにかく、俺がしていたのは教官への求愛なんかではなくて・・・」
「え〜〜」
ラウラの反応に疑問を感じながらもサラの考えを改めて一蹴し、自分が体験した痛みについて報告した。
「・・・なるほどね。原因は判っているの?」
「ええ、おそらく俺のマスタークォーツかと。アレの出自って教官はご存知ですか?」
ケインにはある程度の予想がついていたが、念のために尋ねておく。その予想通り、エプスタイン財団かラインフォルト社のどちらかだろうと彼女は答えた。
「使ってみてどんな感じだった?・・・それと、その“痛み”はいつからあったのかしら?」
「うっ、妙に鋭いですね。旧校舎一斉落下事件の直後ですよ・・・そんなに意識しては使ってなかったんですが」
「アレは悪かったって言ってるじゃない!変な名前を付けないで頂戴」
もはやZ組の中で過去の事件となりつつある、オリエンテーションをした旧校舎内でのエマージェンシー床ガコン。そこでは毎月、リィン隊長を筆頭に探索が行われているため、クラス内ではその話題
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