エピソード29 〜万丈目去る〜
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ュンコさん!」
「ジュンコ!」
「明日香さぁぁん!」
足が竦んで立てないのか動こうとしないジュンコに明日香たちが駆け寄ると目に涙を浮かべ、名前を呼ぶ。
とりあえず、人質も無事に解放され一件落着……と思われていた所に
「あのサル、また研究所に連れ戻されちゃうのね……。」
ポツリと明日香が漏らす。
十代がデュエルに勝利したのはいいが、その代わりにサルの自由を代償にしてしまった……などと思っているのだろう。
「後は我々に任せたまえ。」
博士が黒服二人に命ずると麻酔銃を構えたまま、猿へと近づいて行く。だが、不意に背後から声をかけられ、足が止まる。
「なぁ……誰がサルが負けたら、研究所に連れ戻すって言った?確か十代は勝ったら、ジュンコを解放しろ。と言ったが研究所に連れ戻すとは言ってない……よな?」
語調を強め、言葉を発すると黒服たちは気圧され、数歩退く。
先に言われた!?と声が聞こえたのは気のせいだろう。
「ふん、いち学生如きがなにを……。構わんから、さっさとSALを捕獲しろ!」
博士は再び命令を下すと黒服は麻酔銃を構え、照準をサルへと向ける。だが、十代がサルを庇うように両腕を広げ、立ちふさがる。
「くっ、どけ!撃たれたいのか!」
黒服は銃口を向け、威嚇するが十代は気丈にも男たちを睨み返す。
……エアトス
『?はい、なんですか紫苑さん?』
隣で状況を見守っていたエアトスがこちらへと視線を向ける。
強行手段に出ようとしたら、…………潰せ。
『……はい。わかりました。』
予想していたのか、表情を一切変えず腰に吊るしている剣の柄へと
手をかける。エアトスの準備が整ったのを確認するとこちらもポケットからある物を取り出す。
「コレ、な〜んだ?」
博士がこちらに注目すると同時にスイッチを押す。すると、手に持った機械から博士の声が聞こえてくる。
「ボイスレコーダー……!?いつの間に、そんなものを!」
「あんたと会った時からの全ての会話が録音されている。もちろん、あんたがあのサルに何をしたかもバッチリな。」
要するに公表されたくなければ、手を引けと言う事なのだがいささか物証としは心もとない。このまま押し通せるか?
少し不安に思っていると森の方からやっほー、と場違いな声が聞こえてくる。
「し、お、ん〜♪会いたかったよ〜!」
「うわっ!?姉ちゃん!?」
ダッシュし、速度を緩めずそのまま抱き、頬擦りしてくる我が姉。恥ずかしいから、やめて欲しい。
「〜〜♪会いたかったよ〜。」
「今朝会ってるから!いいから、離して!?」
いまだ体をすり寄せ、抱きしめてくる姉。純粋に恥ずかしいのと、今はそんなことしてる状況じゃないか
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