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Round《3》〜オーバー・アンド・ソリッド〜
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た。

 リュウの《双刀》のソードスキルは、多くが一定確率で相手に状態異常を及ぼすエクストラ効果を保有している。それは一定時間の間ダメージを与える毒であったり、相手の行動を止める麻痺であったり、微弱なダメージと共にSTRの低下を招く火傷であったり。

 だが今だ、それらの一つすらもがハリンにかかったことはない。一度もエクストラ効果を発揮できていないのだ。ハリンに攻撃がヒットしていないのだから、当然と言えば当然ともいえるのだが。

「……セァッ!!」

 《双刀》重突ソードスキル、《エルレイン》。大きく相手を吹き飛ばし、距離を開ける汎用剣技。

「……シィィッ!!」

 《双刀》範囲旋回ソードスキル、《崩旋風(ほうせんぷう)》。周囲を切り裂く攻防一体の剣技。

 お互いの剣が再びかみ合う。ハリンが吹き飛び、リュウが切り裂かれる。

 どちらも大したダメージは入っていない。立ち上がり、次の行動へと入る。

 ハリンが駆けだす。場所を移そうというのか。それに追随するかのように、リュウも駆け出した。

 再び両者の剣に光がともる。

 ハリンの二刀には、《双刀》上位ソードスキル、《流彩山(りゅうさいざん)》、十三連撃。

 リュウの両剣には、《双刀》確率ソードスキル、《フィンダスト》二連撃。

 ハリンのそれは、刀スキルにあるまじき大連撃ソードスキル。対するリュウのそれは、確率で相手を盲目(ブラインドネス)状態にできるスキル。

 速度はほぼ同じ。どちらの剣が先にあたるか――――と、そこで、ハリンの二刀が加速する。

「……ッ!」
「――――《疾風斬撃》」

 高速での斬撃を可能とする補助スキル、《疾風斬撃》の効果だ。これに寄って、拮抗するはずだった二人の剣速は、ハリンの方が上回り――――

「ぐっ!!」

 リュウの胴を大きくえぐる。

 ついにヒット。彼のHPバーは、上位レベルプレイヤーからの攻撃をまともに受けたことによって大きく削られ、残りは八割を切った。

 だが、単にリュウの被弾で終わったわけではない。

 エクストラ効果こそ発揮しなかったものの、ハリンにも斬撃はヒットした。彼のHPバーも九割だ。

 二人ともにおしゃべりな性格ではないものの、いつにも増して口数が少ない。無言で剣をぶつけ合う。

 はたから見れば、何の面白みも無い戦いにしか見えないだろう。

 当然だ。二人とも、この大会に参加している他のプレイヤー達のように、絶対的なチート能力を持っているわけではない、堅実にして万能なバランスタイプのステータスをしているからだ。

 しかし、それであるが故にこの二人の戦いは面白い。どちらか片方が一瞬でも気を抜けば、そこで試合が決してしまいかねないのだ
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