28辛い過去前編
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どうしてですか? も、もしかしたら、大切な何かを失うかもしれないんですよ? せ、先輩はどうして、そこまで真っ直ぐ生きていられるんですか……?』
「俺にはこれしかできない。そして」
『そして?』
「――リアス様の涙を二度と見たくない。レーティングゲームで俺が敵を倒すのに手間取ってついた頃にはイッセーがボロボロでリアス様に抱かれていてリアス様が投了を選択したんだ。俺が早くつけていたらと思うと…‥今でも悔しい」
ギィ……。
鈍い音を立てながら、扉が少しだけ開かれた。
「なあ、ギャスパー」
「……はい」
「弱いままじゃ何も守れないんだぞ。神器を怖がっているだけじゃあ、いざというとき大切な人や仲間を守れないんだぞ。――それでもいいのか?」
「……で、でも、僕じゃ、ご、ご迷惑をかけるだけです……。引きこもりだし、人見知り激しいし……神器はまともに使えないし……大切な人なんて守れるわけが……」
俺はギャスパーの顔をおさえると、両目を覗きこんでやる。
ここに神器があるのか。時間停止する能力。
「俺はおまえのことを嫌わないぞ。先輩としてずっと面倒みてやる。……まあ、悪魔としてはおまえのほうが先輩だろうけどさ。でも、実生活では俺が先輩だから、任せろ」
「――っ」
ギャスパーは目をパチクリさせるがお、俺は続ける。
「俺ひとりじゃ守れない。力を貸してくれ。俺と一緒にリアス様を支えよう。おまえが何かに怖がるなら、俺がそれを吹っ飛ばしてやる。」
ニカッと笑ってみるが、ギャスパーはコメントに困っている様子だ。
「イッセーの血、飲むか? アザゼルが言ってたことが真実なら、イッセーの血を飲めば神器を扱えるかもしれない」
あのとき、アザゼルはそう言っていた。イッセーなら必ずやってくれる、それで済むなら安いものだと思う。
だが、ギャスパーは首を横に振る。
「……怖いんです。生きた者から直接血を吸うのが。ただでさえ、自分の力が怖いのに……これ以上何かが高まったりしたら……僕は…僕は……」
「わかった。地道に制御できるようになろう」
「はい!」
続く
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