4部分:第四章
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第四章
「あの装甲は凄いな」
「それに向こうの戦車砲の威力ときたら」
ドイツ軍の戦車砲の威力は相当なものだ。とりわけあのキングタイガーが搭載している八八ミリ砲の威力はかなりのものである。それは先の戦闘でよくわかっていた。
「一撃で終わりだな」
「間違いないな」
「シャーマンじゃな」
確実にやられる、そう確信できた。
しかしだからといってだった。彼等はこうも考えだしていたのだ。
「一両だけだぜ、相手」
「そうだよな」
「一両だけなんだよな」
その一両だけの相手に遅れを取るとは、だった。そこが問題なのだった。
「俺達は何だ?」
「アメリカ軍だ」
これが最初の答えだった。
「アメリカ軍は何だ?」
「最強の軍だ」
この自負もあった。もっともこれはアメリカ軍だけでなくどの軍も自負しているものだった。しかし彼等はそう思っているのは事実だった。
「間違いなくな」
「そのアメリカ軍が一両の戦車に逃げ回るっていうのはどうなんだよ」
言うのはバージルだった。
「やってやらないか?」
「そうだな」
「逃げるのは恥だな」
チャーリーとエドワードは彼の今の言葉に頷いた。
「相手が虎でもな」
「意地を見せたいな」
「おい、いいのか?」
ジョーンズはそんな彼等の言葉を聞いてその目を鋭くさせた。
「あれは尋常な強さじゃないぜ。正面からやってもな」
「正面からやる必要はないだろ」
しかしバージルはジョーンズに対しても言った。
「そんな必要はな」
「正面からか」
「正面からやり合ってもあいつには勝てないさ」
バージルもよくわかっていることだった。それは最初にドイツ軍の急襲を受けた時によくわかっていた。ドイツ軍の戦車の中でとりわけ手強いのだと。
「絶対にな」
「それじゃあ仕掛けるのか」
「ああ、道は一本道だ」
バージルは言った。
「今は振り切ってもあいつは絶対に来る」
「そうだな」
「絶対にな」
チャーリーとエドワードはその言葉に頷いた。
「それなら待つか」
「待ち伏せしてか」
「忌々しい雨だけれどな」
バージルは今度は今も降っている雨について言った。
「航空隊が動けやしない」
「そのおかげで俺達は苦労してるってわけだな」
「いい加減晴れてほしいな」
アメリカ軍の強さは航空隊がかなりの部分を占めている。その数や補給もだが航空隊の存在もかなりのウエイトを占めているのである。
「しかしな。その雨は向こうも同じなんだよ」
「向こうも?」
「どういうことなんだ?」
「視界が悪くなっている」
バージルが言うのはこのことだった。
「それだ。それを使う」
「隠れてか」
「それでか」
「ああ、隠れて待ち伏せするぞ」
それをするというのだった。
「あ
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