第六章 颶風の巫女
第10話 激突する力〜地上編〜
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
あんたまだ言うか!夕弦の方が相応しいに決まってーー」
夕弦「否定。そうは思いません。耶倶矢の方が生き残るべきーー」
士道「ーー俺は!!」
二人の言葉を遮るように声を張った。
士道「お前らの決闘の裁定役を降りたつもりはない!俺が、選ぶ!真の八舞に相応しい精霊を!」
『……っ!?』
上条「もちろん俺もな」
士道と上条の言葉に耶倶矢と夕弦が驚愕に目を見開き、視線を鋭くした。
おそらく二人はこう思ってるだろう。
相手を選ぶならよし、自分を選ぶならその心臓をコンマ一秒以下で貫くと。
だけど。
士道「俺が選ぶのは″おまえたち二人、両方だ″!!」
士道の叫びに、耶倶矢と夕弦は数秒ジッと見つめ、どちらかとなく大きなため息を吐いた。
耶倶矢「何それ、ふざけてんの?」
士道「……ふざけてなんかいない」
夕弦「軽蔑。決断力がない男性は見っともないです」
上条「それだけ、二人とも魅力的ってことだ。例えば耶倶矢は夕弦を、夕弦は耶倶矢を思う気持ちがすごく強い……とかな」
耶倶矢「な……」
夕弦「……」
上条「……選択肢を与える。最終的にはお前らが決めるんだから選べ。拒否はなしだ。
@、耶倶矢が夕弦を取りこみ真の八舞となる
A、夕弦が耶倶矢を取りこみ真の八舞となる」
耶倶矢「そんなの決まってるじゃない。Aーー」
夕弦「返答。考える間でもありません。@ーー」
上条「B、精霊の力を失う代わりに二人で生き残る」
『……ッ!?』
上条が言った瞬間、耶倶矢と夕弦は目を丸くした。
耶倶矢「……は?今、なんて?」
夕弦「要求。今、なんと」
士道「悪いが、長いことこの三択しか選ばせてもらってなかったもんでね。選択肢が二つだけってのは許容できないんだよ」
上条「要は二人で生き残りたいか、一人で孤独で生きるかどっちか選べってことだ。今からは耶倶矢と夕弦、″おまえたちが裁定役だ″。どの道を選ぼうとももう文句は言わないさ。だからーーしっかり考えろよ?」
上条が鋭く二人を睨み、耶倶矢と夕弦は少し眉をひそめる。
それと同時、耶倶矢は上条の言葉に違和感を覚えた。
耶倶矢「……どう思う夕弦。普通の人間が″そんなこと″できると思う?」
そんなことーーつまり、精霊の力を失わせること。
だけど、凜袮の力の存在を知っている夕弦はそれがどこか現実味を帯びていると感じられずにはいられなかった。
それにーー
夕弦「返答。可能かもしれません。私たちの風を切ったのは士道でしたから」
耶倶矢「そっか……」
再びそこに静寂が訪れる。いや、微かに髪をなびかせている風の音が聞こえる。
一度視線を下方に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ