ラジエル
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。“星読み”が暴走したという事は、凄まじい情報量が彼女の精神を襲ったということ……記憶や人格に影響が出てもおかしくない」
エレンが懸念している事は俺も同じ思いだ。暴走していたとはいえ、ザジの“星読み”の力は予想より断然強く、膨大な知識量に襲われて10歳の少女の精神が耐えられるはずが無い。
そして……それは現実のものとなってしまった。
「あ……あれ……?」
「お、この子も起きたようやね。大丈夫?」
「ザジ……自分がわかるか?」
「え? あの…………あなたは? あ、あれ? わから……ない? うち……あなたが誰なのか、どうしてここにいるのか、全然わからない……!?」
意識を取り戻しても、ザジは自分の記憶が砕けている事に耐えがたい不安を抱いて震えだしてしまった。取り乱しそうな彼女を俺は少し強引に引き寄せ、無言で彼女の背中をさする。
「わからない……全然思い出せないよ……! 怖い……怖い……!」
「大丈夫だ、ここにはおまえを傷つける者はいない。怖いものは何も無い。大丈夫、大丈夫だ……」
とにかく安心させてやらないと、辛うじて残った彼女の心が跡形も無く砕け散ってしまう。ガタガタ震わせている彼女の肩を抱きながら、精神が落ち着くようにひたすら撫で続ける。エレンもザジの手を握って安心させようとしてくれ、ひまわり娘は内側の方から暖かくしようとハーブティーを淹れに行った。
俺達の抱擁の中でハーブティーの香りも漂ってきた事で、もうしばらく続けるとザジの乱れていた呼吸が落ち着いて通常に戻ってきた。どうやら峠は越えたらしい。
「あ、ありがとう……もう、落ち着いたので大丈夫です」
「そうか……」
「……あなたに触れていると、あったかくて心が穏やかになります。名前も思い出せないのに、不思議ですね……」
「…………」
暴走の影響で記憶障害となったザジの言葉を聞くと、俺もエレンも複雑な気持ちになった。特にエレンはある事情を知っていたせいで、泣きそうな顔になっていた。
「ザジ……ごめんなさい」
「なんであなたが謝るんですか?」
ポカンと何もわかっていない様子のザジを見て、益々エレンは落ち込んでしまった。
「(あんまりよ……気持ちを伝えようと決意した直後に記憶喪失になるなんて……。こんなの辛すぎるわ……神がこんな罰を与えたのなら、人でなしの私に与えなさいよ……!)」
「え? え??」
終いには涙を流してしがみついたエレンに、流石のザジも困惑していた。自分の事を想って泣いてくれているとわかっているから、ザジも強引に振りほどかなかった。
ハーブティーを持ってきたひまわり娘に呼ばれて、俺達は一旦席に付いた。それでザジに記憶喪失の影響を話してもらったのだが、聞いてる内にエレ
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