ラジエル
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』
「そんな事はいい! それより、どうにかならないか!!」
『この方法しかなかった……どれだけ多くの人が力を合わせようと、全てを救う事は出来ない。せいぜい限りある“生の権利”をわずかに増やすのが限界なのよ、人間は』
『たとえどんなにつらくとも、もう二度と……未来をあきらめたりはしない!!』
『これで……いい、俺は……俺の生きた証を残せた。後は……おまえ達の時代だ!』
過去現在未来の時を問わず、二人の話した声が強く頭に響いてくる。それ以外の無数の声も聞こえるけど、それはあまりの情報量の波に飲まれてしまった。というより、うちの精神がもう耐えられなかった……。
記憶が……心が……砕けるッ! 過去も、旅も……たくさん! 嫌だ……忘れたくない……! 忘れたくないよ……! わす、れたくな…………。
「力が集束している!? マズい、爆発が起こる!!」
サバタが叫んだ次の瞬間、金属板同士の間から大爆発が発生した。その威力はうちらを中央広場の床から全員吹き飛ばすのに十分過ぎ、爆風に煽られたうちは遥か下にある大地に向かって真っ逆さまに落ちていった。
記憶の混濁と爆発の衝撃の影響が重なって意識が飛ぶ寸前に見えたのは、輝きながら飛んできた金色の金属板が反物質化してうちの中に入り込むのと、黒衣の少年がうちを抱き留めてくれた光景だった。
「な、なんやねんアレ!? 空から人が降って来るって、天空の城ちゃうんやから! チッ……他の連中もいない中、うち一人でやれるか? いや、“ひまわり娘”を襲名したうちがやらんでどないすんねん! いくでぇ!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・
〜〜Side of サバタ(幼少期)〜〜
「あん時は一瞬どうなるかと思ったけど、まあギリ何とかなって良かったで。な〜んも無いけど、とりあえずゆっくり休んでってぇな?」
「世話になる……」
ちょっとした高台に建てられた屋敷に招き入れてくれた彼女に、爆発の影響でボロボロの俺達を招き入れてくれた事に礼を伝えておく。綺麗に手入れされた銀髪を一本に結った彼女は、老いても魅力的な笑顔を一瞬見せた後、すぐに横で寝ているザジとエレンの方を思案気に見つめた。
あの時……爆発のせいで太陽都市から落下した俺達は、落下地点に偶然いた老練の魔女が下から発生させた風圧によって落下の勢いを弱めてくれたおかげで何とか生き残れた。あの高さから落下して全員生きている辺り、悪運が強いと言うか、幸運が強いと言うか……。助けた魔女が伝説の“ひまわり娘”でなければ、今頃本当に死んでいたかもな。
それよりエレンとザジの様子だ。彼女達は未だに目が覚めておらず、ベッドで未だにうなされている。やはりあの金属板……あの構造から天然物ではあり得ない人工物が原因だろう。
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