真空波の魔女
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うか……行くぞ、“星読み”」
「え?」
「どうした、変異体と戦うつもりだったんじゃないのか?」
「それはそうなんだけど……彼女は?」
再び歩き出そうとするサバタに、エレンをこのままにするつもりか尋ねると、視線で彼は「わかっている」と示してきた。
「……“真空波”、おまえはせめてもの罪滅ぼしとして、変異体と戦いに来た。無謀な戦いに負けて死ぬのは自己責任、それが一人でここに来た理由だろう」
「その通り……そして私だけじゃ変異体にはきっと勝てないわ。でもミズキを殺したアイツにはせめて一矢報いたい。そのためなら私の命、どうなっても構わない」
まるで自殺志願者のような精神をしているエレン。このままだと彼女は変異体と戦い、力及ばず殺されるだろう。せっかく出会えたうち以外の魔女、みすみす見捨てたくない。
「どうなっても……か。わざわざ自分から犬死しようとする人間が、変異体に一矢報いることなど到底かなわないと思うがな」
「なら……それならどうすればいい? 私にはこの方法しかないのに……」
「さっき言われたよね……一人でやろうとするなって。サバタはもう一度、エレンが同じミスをしない様に注意してるんだよ、きっと」
「ザジ……」
「いつまでそこで落ち込むつもりだ、仇を討つんだろう?」
「サバタ……」
叱咤されてエレンは涙をぬぐい、力強く立ち上がった。今の彼女の目には、先程のように死を望んでいた意思は感じられず、償いきるまで生きて戦う決意が秘められていた。
「お願い……力を貸して。ミズキの仇を討たせて……!」
「…………フッ」
「良かった……エレンも一緒に来てくれるんだね」
エレンがうちらの仲間になった。彼女とは同じ魔女という事で長く付き合えそうな友達になれそうだ。無論、お互いにちゃんと生き残ったらだけど。
・・・・・・・・・・・・・・・・
〜〜Side of サバタ(一時休憩)〜〜
「なのはやはやて達が持っている魔法の才能。それを特別と思うのは自由だが、それに甘んじてはいけない。“真空波”のように才能が強いからこそ起きる悲劇もあり得るのだからな」
一旦話を区切って各自の様子を見ると、ザジの時のように号泣はしなかったものの、空気が重たい。
「親友を救おうとして失敗し、より大きな被害を出してしまったのがエレンさんって訳なんやね。本人には悪いけど、良い教訓になるわ」
「……………」
「どうしたんだ、なのは? 一人ボーッとしてさ、なんか考えてんのか?」
「もしやサバタがこの話をした理由って……なのはが魔法の力に依存しかかっているから警鐘の意味で伝えている、と考えているんじゃないかしら?」
「それだけじゃない。なのはだけでなく主が
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