真空波の魔女
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魔女の力がある、自分は特別だから助けられると驕ったんだろう! 違うかッ!!」
「そ、そんなつもりは……!!」
「ならどうして協力を求めなかった!? 力が無くとも周りには自警団、救出に協力してくれる人間がいたんだろう!? 魔女でありながら何の努力もせずにヒトが協力してくれる恵まれた境遇にいて、何故その発想を抱かなかった!!」
「わ、私は……私は……!」
「だいたい戦い方も知らないくせに、変異体に立ち向かおうだなんて無謀なんだよ! 魔女だろうと出来ない事はあるのだから、出来るように力を借りれば良かったんだ! そうすればミズキだって助かっていた可能性だってある! なのに英雄願望に憑りつかれて自分だけで解決しようとして結局出来なかったら、その責任はモンスターに全部押し付けるのか? 自分の過信が過ちを生んだ事を自覚しないで、被害者面するな!! それは卑怯者の考えだッ!!」
「ああ、そうかもね。そう、私は卑怯者よ。それぐらい最初からわかってるわ。自分の力量も知らないで、原因を外に押し付けて、泣き言を漏らすだけの情けない女だよ……。だけど……あの時、何故か無性に血が騒いだんだ。騒いで抑えられなかったんだ! 自分ではどうしようも無かった……」
「さ、サバタ? ちょっと言い過ぎじゃ……。それにエレンだって、自分のミスはちゃんと……」
「ザジ、あなたにはわかる? 気が付けば周りは瓦礫と死体の山。何が起こったのか、自分は何をしたのか、全く覚えていない! なのにこの手には……体にははっきりと残っている! 叫びが、悲鳴が、慟哭が、血の臭いが、骨が砕ける音が、私を呪う声が、時間も空間も超越して伝わって来る!!」
「ッ……!」
「見てよ! この手! あなた達にこの感触がわかる!? 声が聞こえる!? 自分の手で故郷を破壊した私の気持ちが……遺された人達を前にして何にもしてやれなかった私の心が! 私は自分の手で帰るところを失わせたんだ……もう誰も私の事なんか……! 必死だったんだ……あの時は仕方なかったんだよ……! う……うぅ……うわぁぁぁぁんっ!!」
街を出てからずっと溜め込んでいた感情を吐露して、エレンは子供のように泣き出した。うちらも含めて実際子供だけど、それでもエレンの味わった辛酸は我が身のように伝わって来る。
魔女の力……普通のヒトには無い特別な力。それをどう思い、使っていくのかはどこまでいっても自己責任だ。才能とも言える魔女の力の大きさに胡坐をかいた結果、過ちを犯してしまったらその被害は相当なものになってしまう。エレンは力を持つ者の責任を軽視し過ぎていた……それはかつて力を迂闊に見せびらかしたうちと同じ過ちだった。
「…………この先に変異体がいるのか?」
「ぐすっ、ヒック…………そう、だよ……」
「そ
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