真空波の魔女
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いに魔女を受け入れてくれる人はいたわ。今はもういないけど……」
「どういうこと? そもそもあの街でいったい何があったの?」
「……二人は前のビフレストを知ってる? 吸血変異やヴァンパイア、アンデッドによって世界が大変だって時でも、あの街はのどかで、いい港町だった。吸血変異の影響が少ない海の恩恵のおかげで、ビフレストは食料に困窮するような事は無かった。街の皆も、私が持っていた魔女の力を何人かは受け入れてくれていた。そんなビフレストがあの夜……結界を打ち破ってきた巨大なモンスターに突然襲われた。モンスターの攻撃はぶつかった家が倒壊するほどで、そのあまりに凶悪な威力を前に街の自警団も全然歯が立たなかった。私も……幼馴染みで親友のミズキも、襲われた北区から一緒に逃げていた。でも私をかばってミズキがモンスターに捕まって、私はこの魔女の力……“真空波”を使って彼女を助けようとした。全然戦い方も知らないのにね……でも、親友を見捨てる事は出来なかった。魔女の力を使えばなんとかなると思った……いや……そうしろって誰かがささやいた気がした。そうしろって……。けど、結局なんともならなかった。ミズキは……」
「モンスターに殺されたのか?」
「……エレン?」
「……………そう。ミズキは私の目の前でモンスターに絞め殺されて、モンスターの中に引きずり込まれた。その瞬間、私は目の前が真っ白になって…………それから後のことはよく覚えていない。力が暴走したって、誰かが教えてくれた。気が付いた時には、街も両親も友達も……」
なるほど……街の半分を吹っ飛ばしたのは、親友を失って感情が制御できなくなったのが原因だったらしい。うちには親友と言える存在がいないから、少しわかりにくいけど……両親を失う辛さに近いものは共感できる。
「……そうだ、そうだよ。モンスターさえ……ヤツさえ来なければ、街を襲わなければ、私は戦う事も無かった。街の皆を巻き込むことも、家族を失うことも、ミズキを死なせることだってなかった。そう、全てヤツのせいよ! 私は悪くない! 悪いのはヤツよ、ヤツさえやって来なければ、こんな事には……! ヤツさえ! ヤツさえ!! ヤツさえ!!!」
話してる途中で蹲り、悔しさと悲しさ、怒りで床を叩くエレン。確かに話を聞くからに、彼女に落ち度はない様に思える。ただ……同じ魔女としてどこか納得のいかない気持ちもある。
「いい加減にしろッ!」
「サバタ!?」
「さっきから聞いてれば、モンスターに責任を擦り付けて、自分には何の責任も無いって言い方じゃないか! 最初自責していたおまえは何処に行った!?」
「私に責任なんて……!」
「ある! 確かにミズキの事は気の毒だ、しかしその時おまえは一人で解決しようとしたんじゃないのか!? 自分には
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