真空波の魔女
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「海底洞窟に繋がっていたのか……崩れたら大変だな」
「もう! せっかく気付いても黙ってたのに! これから行こうって時に怖いこと言わないで!」
「う……すまない」
珍しくサバタを言い負かせて謝らせる事が出来たけど、さっき言った事が本当になったらどうしようかと不安でしょうがない。
エレベーターが終点に着いた先にあった、ぽっかり空いた洞窟がうちらの目に映る。そして覚束ない足取りで入っていこうとする一人の少女の姿があった。
「君、ちょっと待って!」
うちの呼びかけに反応して、うちらと同年代らしい彼女は静かにふり向いた。身軽に動けそうなワンピース、ポニーテールにしたコバルトブルーの髪に深い悲しみに満ちたターコイズブルーの瞳、幼さが残っていて笑うときっと可愛いはずの顔は悲壮感に染まっている。その絶望感は、まるであの時のうちと同じ……。
「なるほど……おまえが“真空波のエレン”か」
「私を知ってる……という事は、ビフレストで聞いた?」
「ああ……結果だけな」
サバタは何か知ってるみたいで、彼女……エレンと少ない言葉で意思疎通を行っていた。街で得た情報を聞いてなかったから、置いていかれた気がしてサバタに尋ねる。
「あのさ、この子は何者なの? “真空波のエレン”って?」
「彼女は……“星読み”、おまえと同じ“魔女”だ」
「うちと同じ……魔女?」
「そうだ。“真空波のエレン”……真空を自在に操る、攻撃性の高い力を持っている人間だ」
「そして……私こそが街を半分破壊してしまった原因……」
「え……街を、破壊? どういうこと? あれは変異体の仕業じゃなかったの?」
おかしい。うちらは街を半分壊した変異体を倒しに……『水竜の尾』を探しに来たはず。実際、街の北側の被害は相当酷かった。だから変異体を探していたのに、それがどうして彼女が破壊したという事に繋がるの?
「俺もビフレストの生き残りから結果だけ聞いただけだ。詳しい経緯を教えてもらえないか、“真空波”?」
「……いいわ、これは私の負うべき責だもの。でもその前に少年が今言った事を確認したい。……あなたも“魔女”?」
「うん、うちは“星読みのザジ”。自分以外の魔女と会うのは初めてだよ」
「それは私も同じ……それならそっちの少年は?」
「俺はサバタ、ある物を探して旅をしている身分だ。“魔女”に対しては特に偏見も畏怖もしていない」
「そう……“魔女”と一緒に旅をしているし、本当のようね。こんなご時世に珍しい関係……羨ましいわ」
一瞬、顔に影を見せるエレン。彼女も魔女である以上、いわれなき暴言を受けた事があるのかもしれない。その辛さは身を以って理解している。
「私も少年みた
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