真空波の魔女
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力なら、こっちも万全に準備しないといけない。街の店から食料とかを色々買い込んで、いざって時に空腹で力が出せない、なんてことが無いようにしておく。
買い物の間にうちが魔女だってバレないか不安だったけど、その辺はサバタが上手くフォローし、ついでに情報集めもしてくれた。
「…………とりあえず支度は済んだ。行くぞ」
「りょ〜か〜い」
用事を済ませるとビフレストを出て、うちらは北の遺跡へ向けて歩き出した。変異体が出て来たとしても今のうちが戦力になるかと言われると微妙だが、今回の言いだしっぺは自分だし、やるだけやろう。
『アルフォズル遺跡』。ビフレストの人間によるとそこは旧世界の施設で、“遺跡”という名前から石とかで出来てそうなイメージが湧くが、実際は風に当たって錆びた壁やコンクリートで舗装された地面、金属で出来ている道具が散乱していたりする。旧世界の高い文明ぶりがよくわかるが、今の時代だとほとんど無用の長物だ。
「む……ごく最近ヒトが入った痕跡がある」
「うちらの他に誰か来てるの?」
「さあな。とっくに帰った後かもしれないし、変異体の腹の中に収まってるかもしれない」
「は、腹の中……うぅ、ちょっと想像しちゃった……」
「とにかくここに探し物……フロスト属性が強いから、『水竜の尾』を見つけるのが目的だ。変異体を倒すのは、あくまでついでだという事を忘れるな」
サバタはそう言うが、どちらかと言うとうちは変異体の方に意識が傾いていた。彼の探し物は見てもわからないから、“星読み”を使わないうちは捜索じゃ役に立たない。代わりに目に見えて異質なモンスターである変異体を早期発見できるように努めた方が、役割分担もできて効率が良いと考えている。
「閉所だからか闇の気配が強い。アンデッドに見つからないよう細心の注意を払え」
「太陽の力が使えないとアンデッドは倒せないんだよね、気を付けないと……」
倉庫にも工場にも見える内部を、ゆっくりした歩行速度で徘徊しているグールに見つからない様に慎重に進み、うちらは遺跡の半ばにある部屋にたどり着いた。そこの床に地下へ降りる巨大なエレベーターがあったが、無人のはずなのにどういう訳か電力が来ていて降りる事が出来そうだった。
「この遺跡に漂うフロスト属性はこの下から発生している。前回の経験から『水竜の尾』はエナジーの濃い場所にあるようだから、地下に行ってみるぞ」
「それは良いんだけど、なんで動力が……?」
「さっきの痕跡の主が動かしたのかもしれないな。ま、行けばわかる」
スイッチをサバタが動かすとガコンっと鈍い音を響かせて、うちらを乗せたエレベーターが下降していく。しばらくすると周りが金属質から段々と石質になっていき、潮の香りが漂ってきた。
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