真空波の魔女
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摘に、うちは口どもって何も言い返せなかった。そう、うちは魔女の力で最初は人助けをした。でもそれがきっかけでうちは恐れられ、終いには……。
「…………これ以上自分の立場を悪くしたくないのなら、時には切り捨てることも覚えろ。見えるもの全てを救おうだなんて、そんな事が出来るのは神だけだ。そして人間は神には絶対なれない。……わかったか?」
「……………うん。ごめん……うちが甘かったわ」
「どうしても全てを救いたいのなら、自分の命を差し出す覚悟を示してからにするんだ。半端な覚悟だとかえって救えなくなるどころか、余計な犬死が増える可能性が出る。異端の者ならなおさら意識しなければならない」
サバタは行く先々でうちが魔女だ、化け物だ、とヒトから後ろ指を指されて傷つかないように、あえて厳しく言っているのだとわかっている。世間知らずはうちの方だから、彼の言う事は至極尤もなのだろう。
「……でも、見てるだけで何も出来ないのは……やっぱり辛いや」
「そうか。なら面倒だが変異体を倒すとしよう」
「………………? あれ? さ、サバタさんや……あなたさっきまで否定的だったはずだよね? なんで……」
「はぁ……確かに“可能な限りやり過ごす”とは言った。しかし“無視する”とは言ってないだろうが」
「じゃあ!」
「もちろん向こうが出て来ないなら放置するが、襲って来たら返り討ちにしてやる。だが俺にも都合があるのでな、張り込んでまで倒す気は無いぞ」
「それでもいいよ! よし、そうと決まったら早速北の遺跡に向かおっか!」
「補給もしないで行くつもりか、バカ」
「またバカって言ったぁ〜!! もうっ」
ホント、この男は素直じゃないなぁ。だけど一緒にいて彼の性格が段々わかってきた。口は悪いし、性格もひねくれてるけど……根は本当に良い奴だ。実際、うちの恩人でもあるし。
「しかし変異体の仕業にしては…………妙な部分があるな」
「どうしたの、そんなに考え込んで……何か気になる事でもあった?」
「……変異体の性質はいわゆる餓鬼と表せる。そんな奴が侵攻した街を完全に壊滅させずに済ました時点で何かおかしい」
「食べ過ぎて満腹になったとかじゃないの?」
「違う。本来、変異体には満足や満腹といった満たされる感情や状態はあり得ない。どれだけ大きな都市だろうと、襲われれば決まって全滅しているものだ。なのにここは北半分の場所だけが壊滅している。南半分がほぼ無傷で残るほど被害が軽微なんだ」
「街半分が壊滅してるのに軽微だなんて……変異体の脅威ってそこまで酷いんだ……」
神秘の森にいた変異体はサバタがアッサリ倒してたけど、実はうちが想像してたよりはるかに危険な存在だったみたい。
とにかく敵がそれだけ強
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