真空波の魔女
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準備を整えるためにあの街に向かう事にしよう。
「なんだろう、これ」
『あつがなついぜ! 虹の降る都ビフレスト! いろはおえ〜!』
街の入り口にはこんな個性的な看板が立っていた。理由は無いがなんとな〜く、裏側を見てみる。
『みぃ〜たぁ〜なぁ〜……?』
「なんでホラー風味なの!? というかこういう場合は『なんと! うらがわだった!』 的なメッセージがあるものでしょ、普通!?」
「おまえは何を言ってるんだ? 置いてくぞ」
「あ、ちょ、置いてかないで! 待ってよぉ〜!」
うちがつい調べた事に呆れた視線を向けてくるサバタ。ところで故郷で過ごした経験から、うちが魔女である事は絶対に口外しないように心掛けておく。サバタもそれは分かっているようで「街中では魔女の力を使うな」と念を押してくれた。
さて、ビフレストは面白い事に水路が街中に張り巡らされていて、まるで海の上に浮かんでる石の土地みたいに見えた。水の流れる音には精神を鎮静化させる作用があるようで、歩き回っているだけで気分が良くなっていくみたいだ。
「でもなんだか……街全体が暗い雰囲気だよね。あんまり活気づいてないし、まるで何かに怯えてるみたい……」
「恐らく……原因はあれだろうな」
サバタが指し示した方向を見てみると、人間業ではあり得ない巨大な力で薙ぎ倒されて倒壊した建物が複数散乱していた。まるで何かに襲われたみたいな光景……。
「んぅ? なんか最近似たような何かがあったような……?」
「あ〜間違いない、これは変異体の仕業だ。この街に張られた結界はどうやら俺達が来る少し前、そいつに破られたらしい」
「そうだそうだ、変異体だ! もしかして神秘の森の時と同じように、探し物を手に入れるには変異体を倒していかなきゃいけなかったりするのかなぁ?」
「俺達は勇者様御一行じゃない。やり過ごせるなら可能な限りそうするつもりだ」
「でも……皆困ってるし、犠牲が出て悲しんでいる人もいるよ?」
「この街の人間が変異体を討伐したいなら勝手にさせておくさ。少なくとも部外者の俺達がやらなければならない理由は無い」
「サバタならこの前のように変異体が相手でも倒せるでしょ? せっかく力があるのに助けてあげないの?」
「……なら逆に訊くが、力を持っていれば使わなければいけないのか? 赤の他人のためにその身を削らなければならないのか? それにもし助けたとしてもだ、その後はどうなる? 感謝? 尊敬? 称賛? ああ、確かに少しだけもらえるかもな。だが反対に今の脅威以上に恐怖されることだってある。そうなれば今後動きが取り辛くなるに決まってる。だいたい人間の二面性を、おまえは故郷で既に十分味わってきただろうが」
サバタの指
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