真空波の魔女
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先行して何かを見つけたサバタが少し嬉しそうに言う。
「“星読み”、どうやら俺達にツキが巡ってきたかもしれない」
「ツキって、何か見つけたの?」
「ああ、あれを見ろ」
前方を指し示すサバタの指先に従って、目を凝らして見てみると……これまで何度か通り過ぎてきた無人の駅のホームに、黒塗りの巨大な物体が線路上に止まっているのが見えた。
「何なの、あれって?」
「恐らく、使われなくなった廃列車……だろうな」
「列車……電車!? じゃあアレに乗れれば歩かんで済むってコト!? やったぁ!!」
「おい、まだ動くと決まった訳じゃ……! というかさっきまで疲れ切ってたくせに突然走るんじゃない!」
休めるとわかった途端、まるで重りが着いてたみたいな足が一気に軽くなって、つい走り出してしまった。自分でも思ってた以上に早く休みたかったのだろう。おかげで同じくらい疲れてるサバタも凄く大変そうに追いかけてきた。
「はぁ……はぁ……なるほど、客席のついた列車か。そろそろ日も暮れてるし、少し早いが今日はここで休もう」
「水浴びは出来ないけど、久々に屋根のある場所で寝れる〜!」
野宿ってのも最初はワイルドな感じがして面白かったけど、何夜も続くと身体に疲れが残るのが実感できる。なにせ日が昇るとまぶしくて目覚めちゃうし、夜もアンデッドに襲われないかと思って怖いんだもの。サバタは気配でわかるそうだし、うちが寝付くまで見張っててくれるから安心して眠っていられる。そしていつもうちより先に起きてるから、ホント旅慣れてる人間には敵わないなぁと思う。
とりあえず安全のために内部を調べると、列車の中は当然の如く無人で、アンデッドの姿も見当たらなかった。スケルトンなどもおらず、比較的安全な場所である事がわかった。
クッション付きの客席の一つに腰かけると、一気にどっと疲れが圧し掛かってきて、もうここから動きたくない気持ちになった。
「ん〜〜〜〜っ! ぷはぁ〜〜」
つい横になって身体を伸ばすと、歩き続けて張っていた足の筋肉が伸びて緊張がほぐれる感じがした。先に休ませてもらったうちの代わりに一通り調べてきたサバタも正面の座席に座り、疲れを吐き出すようにため息をつく。
「素人なりに調べてみたが、車輪や動力機関自体は意外と保存状態が良かった」
「じゃあ動かせるの?」
「使われていない期間を考えると少々不安は残るものの、何とかなるかもしれない。が……」
「が?」
「俺にも休息をくれ……いくら何でも体力が持たん」
「あ……なんか、ごめん」
うちと同じぐらい彼も疲れてる事に、うっかりど忘れして気付けなかったわ……。反省しないと。
ゆっくり正面の座席に横たわったサバタは、目を閉じるとうちも
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