真空波の魔女
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〜〜Side of ザジ(幼少期)〜〜
旅って聞いたら何を思い浮かべる? うちは冒険小説みたいなアドベンチャーをワクワクドキドキしながら想像したりするんだけど、実際にやってみると地味な部分が意外と大変だったりする。
例えば着替え。うちは事情があって着の身着のまま旅に出たから、当然同じ服を着っぱなしだ。魔女の癖に贅沢言うなって思うけど、年頃の乙女としてはやっぱりどうしても汗でベタベタしたりニオイが気になってくる。そこら辺は流石に男子のサバタには分からないだろうなぁ。
次に水分補給。川とかの水は暗黒物質に汚染されている場合があるから、そこから補給する訳にはいかない。この前訪れた神秘の森の泉から水筒に水分を補給しているからもうしばらくは持つけど、ずっとという訳では無い。水や食料は出来るだけ尽きる前に、ちゃんと補給しなければならないのだ。
そして……人間の身体の仕組み上、摂取したら当然、“出す”ワケで……って、もう! 乙女になんちゅう事説明させようとするの!? と、とにかくそういうコト!!
とまぁ、こんな感じで愚痴ってしまうのは、歩いても歩いても線路の果てが全然見えないことでストレスが溜まってるからなんだよね……。普段はありがたいはずの太陽の光も、じわじわと降り注がれるとどうしても鬱陶しく感じるのは贅沢な文句だろうか。
「あぁ〜……そろそろ水浴びしたいわぁ〜……」
「なら水筒の水でも頭にぶちまけるか? 代わりに飲み水が無くなるが、一時的に気分爽快になるぞ」
「そこまで自棄にはなってない! でも女の子としては身だしなみも気にしたいの!」
「それぐらいはわかってるさ。それに……線路上は影が全然なくて俺も痛い……」
「? あ、そっか。足とか豆出来てヤバいの?」
「そうじゃないんだが……まあいいか。しかしこの現状は少々考えものだな……」
「うん、一応サバタが結構しっかりしてるとはいえ、10歳の子供が二人だけで旅に出るのはかなり危険だと今更理解したよ」
「一応とは何だ、一応とは。……だが、実際おまえの言う通りだ……」
確かに、このままだとうちらの空気にも亀裂が入りそう。何か良い打開策でも無いかなぁ……“星読み”も欲しい情報を的確にくれるって訳じゃないから、別に得策とは言えないし……。しかも……、
「えぇ〜……この先坂道になってるよぉ」
前方の上下に高低差が激しい道のりを見て、つい辟易と嘆いてしまう。でも旅慣れてないのに何時間も歩き続けて、その上アップダウンの激しい坂道を進まなければならなかったら、誰だってうちと同じようにぼやきたくなると思う。
今は平坦だけど、上り坂になったらうちの足やアキレス腱が持つか不安だ。せめて肉離れとかはしないで欲しい。
これからの苦労を想像して嘆息していると、
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