神秘
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知っての通り、俺の身体はダークマターに侵されている。たとえ身体を蝕もうと俺が生きるために必要なダークマターを、親父たちの力では焼却は出来ても取り除く事は出来ない。それに暗黒仔に片足が入っていた俺は、もう人間の世界に戻れないと自分で納得していたからな。親父に会えたとしても、自分から帰る事を否定していただろう」
「そう、なのか……。しかし、ザジ殿と旅をしている間は人間の世界に順応しているのではないか? 少し言い方は悪いが、魔女のような扱いを受けていないから何とかなったのではないか?」
「確かにネロの言う通り、戻ろうと思えば俺は戻れたのかもしれん。しかし戻れたとしても、やはり俺は戻らない道を選んだに違いない」
「どうしてそう言い切れるのだ?」
ネロの質問に他の女性陣も興味津々に身体を乗り出して聞こうとしている。嘆息した俺は、郷愁の意を込めて告げる。
「彼女の…………カーミラのいる所が、俺の望む居場所だったからな……」
この世界の未来も守り、俺が愛した彼女の存在を聞き、皆は一気に申し訳なさそうな顔をする。別に気を悪くさせるために言ったのではないんだが……そう受け取られても仕方ないか。
「なんちゅうか、告白してないのにフラれた感じになってしもうたな、ザジさん……」
「一途に想われるってのは女冥利に尽きると思うけど、選ばれなかったらその分哀しいわね」
「昼ドラみたいにドロドロしてないけど……ザジさんにとってこれだけサバタさんは心の支えになってるのに好きな人が他にいるって知ったら、きっと辛いだろうね」
「ずっと傍に寄り添ってくれる少女を一途に想う主人公、しかし彼に生きがいを与えてくれた彼女は諦めきれず、横恋慕を企む昼ドラ展開……妄想が膨らみ過ぎてもうたまらないわッ!!」
「ヴィータ、そろそろシャマルを黙らせるぞ」
「あいよ、シグナム。勝手に一人で盛り上がってんじゃねぇよ、シャマル」
「げふぅっ! し、シャマル死すとも、妄想は死せず……ガクッ」
「……シャマルはいつからこうなってしまったのだ?」
「さ、さあ……? ところでこの旅って最後はどうなるのかな?」
「そうそう! 腐れ縁って前に言っとったし、旅が終わった後も感動の再会とかがあったりするんやろ? なあなあ、どうなん?」
「おまえ達、結論を急ぎ過ぎだぞ。ま、少しだけバラすなら、はやてが言うような感動の再会にはならなかったぐらいだな」
「え、そうなん? 一緒に旅をしたんやし、また会えたら絶対嬉しく思うはずやろ、普通? ましてやそれが自分の命を救ったり、戦い方を教えてくれたりした相手なら尚更そうなってもおかしくないやん」
「はぁ……そういう話は全て話し終えてからにしてくれ。ちゃんと最後に理由も判明するから」
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