神秘
[6/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ターが、完全に馴染む途中で留まっているみたいなものだからだ。下手に撃ち込んで完全に順応するような事があれば、こちらの攻撃は全て逆効果となる。
即ち変異体相手では短期決戦が定石……そしてもう一つ、身体の急激な変化で変異体は常に体力を消耗している。その状態は完全体となるまで続き、そのために変異体は他のモンスターよりも多くエネルギーを補給……ヒトや生物どころかモンスターやアンデッドまで食べ、食料になるものをとにかく襲うのだ。ただ……エネルギーが枯渇しているにも関わらず、身体がより変異しようものなら今度は自らの生命まで削ってしまう事になる。そこに俺の勝機がある。
空腹と飢えで冷静な判断が出来ず、見境無く金棒を振り回してくる変異体の攻撃は読みやすく、バックステップやサイドステップで避け続ける。こいつはかなり血が昇りやすいようで、避ける度に威力は上がっても鋭さが鈍くなっていった。この森にはもうほとんどスパイダーしかいなかったから、コイツはここ最近まともに食べておらず、その分エネルギーも枯渇していることだろう。つまり見た目は威風堂々としてるが、実際は餓死寸前と言える訳だ。
やれやれ、来るのがもう少し遅ければ勝手にくたばっていたかもしれない……タイミングが悪かったか? いや、近くには太陽樹に守られているとはいえアースガルズの街がある。変異体も見境なく結界を突き破るだろうし、恐らくもう少し遅ければコイツはあの街を襲っていた可能性が高い。となるとある意味タイミングは良かったのか?
「ま、どっちだろうと構わんが……恨むなよ」
渾身の力で叩き潰そうと大きく振り降ろして来る金棒をゼロシフトで避け、そのまま連続的な動作でヤツの口元に暗黒銃の銃口を向ける。
「たっぷり味わっとけ!」
ヤツの体内に入り込むように暗黒スプレッドを発射、急激な暗黒物質の摂取によって追い付かなくなる変異の代償。それによって身体を維持するエネルギーも完全に尽き、変異体は白目をむいて口から黒い霧を吐き出しながら仰向けに倒れる。一陣の風が吹くと、変異体はボロボロと身体が崩れていき、砂状になって地面に消えていった。
「勝っちゃった!? 勝っちゃったよ、サバタ!!」
「その言い方だと俺が負ける事を望んでた風に聞こえるぞ、“星読み”」
「あ!? ご、ごめん、そんなつもりじゃないから!?」
「フッ……それぐらいわかってるさ」
木陰から飛び出してさっきは喜んでいた彼女は、いじられたと気づくとむくれて軽くポカポカと殴ってきた。軽く流せばいいのに毎度毎度、彼女は律儀に反応してて面白く思える。
さて……ここに訪れた目的である『地竜の爪』を手に入れるために広場の奥、森の最深部へと足を踏み入れた俺達は……。
「うわぁ〜…………すごぉ〜い!」
「これはまた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ