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リリなのinボクらの太陽サーガ
神秘
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かく彼女には相当な魔法の才能があるようで、初心者向けとはいえコツを掴むまで半日はかかるものをたった数分で覚えてしまった。だが物覚えが良くても、問題はいざという時に使えるかどうかだ。

「よし、座学は一旦終了。次は実践だ」

「実践?」

首を傾げる彼女に俺がある方向を指差して促す。そこには最弱モンスターの代表とも言える存在、スライム――――では無くスパイダーがいた。スライムは別の世界の話だ、世紀末世界では通用しない。

「うわっ、クモぉ〜!? き、気持ち悪い!」

「あれはスパイダー、ビースト(動物)タイプのモンスターだ」

「あれが……モンスター……」

「スパイダーはクモの巣をしかけ、相手を捕まえようとする。もし捕まった場合は出来るだけ素早くもがいてさっさと脱出するんだ。そしてクモの巣は太陽の光に照らされていれば視覚的に見えるし、捕まる前に攻撃すれば破壊できる」

「やっぱり攻撃したら、ぐおーって襲って来たりするのかな……」

「それは当たり前だが、スパイダー単体ではそこまでの脅威じゃない。積極的に攻撃してこないから練習相手には最適だな」

「そうなの?」

「ああ。それに『スタン』は相手をマヒ、行動不能にさせる魔法だからしっかり命中させれば動けなくなって襲われる心配は無い。とにかく実践で試してみろ、もし危なくなっても俺がフォローする」

「わ、わかった……やってみるよ」

貰ったばかりの杖を握りしめ、彼女は杖の先端を標的のスパイダーに向けて身構える。スパイダーはまだこちらに気付かないまま、クモの巣を張る作業をしていた。深呼吸をして意を決した“星読み”がスタンを発動、白いエナジー弾が発射される。エナジー弾はスパイダーの背に見事に命中、マヒ効果でスパイダーがその場にうずくまった。

「や、やった! 当たった!」

「上出来だ。あと『スタン』は弾道を操ったり付加効果を追加したりと色々応用が効く。これから機会があれば練習しておいた方が良い」

「はい!」

「次は『インパクト』を使って、マヒしているスパイダーを攻撃するんだ。モンスター相手に情けや容赦は無用、一撃で決めろ」

「わ、わかった……!」

返事をして彼女はスパイダーの背後から恐る恐る近づいていき、再び杖を向けて魔法を発動する。軽い爆発音のようなものを発生させ、マヒで動けないスパイダーは1メートル弱吹っ飛んで沈黙、動かなくなった。
『インパクト』はその名の通り衝撃を与える魔法。しかしその威力は熟練者が使うと2(トン)トラックの全力衝突にも匹敵するようになる。無論、今のは極端な例だが『スタン』と同様に最初に覚えるべき魔法だからこそ、術者の技術や実力が上がれば上がる程、効果が顕著に表れるのだ。武術的に言うなら基礎にして奥義、
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