神秘
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〜〜Side of サバタ(幼少期)〜〜
俺達が初めて会話したあの丘で夜を過ごし、そして朝日が昇る。太陽の光は暗黒少年たる俺の性質上、あまり浴びたくないものなので出来れば早く日陰や屋内に入りたい。しかし……朝起きたら起きたで、少々面倒な事態が発生した。
「おい起きろ、出発するぞ」
「むにゃ、もうちょい寝かせて……」
「……はぁ、いい加減にしてくれ……」
どうも低血圧なのか、“星読み”は寝ぼけて起きようとしなかった。別にそれだけなら一人で朝食を用意出来たり、食材を買い足しに行ったりするのだが、問題は彼女が俺の両腕ごとがっちりしがみついてホールドされているため、全然身動きが取れない事だ。
昨日の内に彼女の事情をそれとなく聞いたから彼女が人の温もりを求めた結果、無意識にくっ付いてきたのは何となく想像できる。しかしここまで力強くしなくても良いだろうに……まったくこのバカが来てから色々と面倒になったものだ。
「にゃっ!?」
「やっと起きたか……さっさと腕を放せ」
「んにゃぁーーーー!!!?」
自称年頃の乙女は朝っぱらから騒々しく、早まったかと俺は早々に後悔し始めていた。
「にゃにゃにゃ、にゃんでサバタにうち、抱きつ……!?」
「面倒だから簡単に言うと、寝たおまえが無意識にくっ付いていただけだ。おかげで朝食の用意も食材の買い足しも出来ていない」
「あ……う……!?」
熱湯でも沸かしたかのように一瞬真っ赤になっていた“星読み”だが、ゆっくり辺りを見回し、昨日の出来事を思い出して冷静になった彼女は「やっぱり夢じゃなかったんだ……」と呟いていた。
「明日になれば全てが元通りになっているという淡い希望でも抱いていたか?」
「まあ……信じられない出来事ばかり続くと、ついどうしてもね」
「残念だが……現実はいつも残酷なものだ。ヒトはいつか一人で立ち上がらなければならない、おまえの場合はそれが他の奴らより早まっただけだ」
「魔女だから仕方ないっか」
“星読み”は苦労のこもったため息を出し、これから自分の人生がどうなるか懸念していた。魔女だろうがそうでなかろうが結局自分の生き方を決めるのは自分だけだから、この先彼女がどう生きるかは彼女が見つけるしかない。
俺が持参していた保存が効き持ち運びのしやすい缶詰を火であぶったものを朝食として済まし、ひとまず彼女をここに待たせて俺はアースガルズに食料の買い足しに向かった。昨日の今日で魔女と知れ回っている彼女をこの街に帰すのは危険だから、よそ者の俺が一人で向かった方が都合良いのだ。
実際買いに行くと、魔女以外にはこの街の人間は普通に接してきたため、どれだけ魔女がこの街で忌み嫌われているのかがよくわかった。イモータルのような反生命種ヴ
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