星屑編 導入
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たのだと。だからこれはうちに与えられた罰、一生背負っていかなければならない現実であると、傷を見る度に思い出させるだろう。
そんな感傷的になるうちをよそに、サバタは薬で消毒して包帯を巻いていった。乙女の肌が黴菌や水膨れなどで荒れない様に、丁寧に治療してくれる彼の姿を見てると、どことなく心臓の音が大きく聞こえるようになる。それに比例して身体もなぜかあったかくなるんだけど、一体これは何だろう……?
「よし、終わったぞ」
「そ、そう! ありがとう!」
「……やけに顔が赤いな、熱でもあるのか?」
「ち、違うっ! そんなんじゃないんだから!」
「そうか。あと、袖の切られた部分を直すのは血を洗い流してからの方が良い。今直したら落としにくくなる」
「わかった……って、え? サバタって裁縫もできるの!?」
「できるが?」
女子力高ぇ……男だけど。
一人旅をしてるって事は自炊も出来るだろうサバタを見て、料理も裁縫も、治療も満足に出来ない自分が乙女として恥ずかしく思えてきた。旅する者の嗜みなのかもしれないけど、戦いも含めて何でもできる彼の姿にうちは憧れを抱いた。
何かお礼が出来たらいいんだけど、一体何が……あ、一つあった。彼に会いたかった理由の一つとして、これを伝えたかったんだ、うちは。
「あのね……あの後、“星読み”でサバタの探してる物を見てみたんだ。…………アースガルズの近くにある『神秘の森』、その最深部に目的の物があるよ」
「神秘の森……ここから南か」
「えっと……今から行くつもり?」
「まさか。深くなくても夜の森は危険だ、俺はこの辺りの土地勘が無いのだから当然、日が出てから行くに決まっているだろう」
なんか暗に「俺はせっかちな人間じゃない」と怒ってるような言い方だった。そりゃ当たり前の事をしないような人間に見られたら誰だってムッとする。これはうちが迂闊だったかな……。
くぅ〜〜……。
「な……なな……!!?」
うちのお腹が空腹を訴える音を盛大に出して、あまりの恥ずかしさで赤面してしまう。た、確かに夕飯食べてないからそうなるのも自然の摂理だけど! 何も助けに来てくれた男の子の前で鳴らなくても……! ぅぅ〜……。
「干し肉ならあるが……食べるか?」
「…………いただきます」
サバタは旅の携帯食として持って来ていた干し肉を一切れ、うちにくれる。乾燥してて固いけど、噛み千切って咀嚼する毎に滲み出る肉の荒々しい味。口の中に広がるそれは、生きてるんだって心に実感できて、普段より美味しく感じられた。量は少ないから一回一回をしっかり味わって、飲み込んでいく。
「……“星読み”、おまえは行くアテが無いんだろう? ならしばらくの間、俺と旅を共にするか?」
「
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