死闘
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応しきれずにいるヴィータちゃんが鉄球を呼び出そうとしていた所だったが、それは即ち、現在は反撃出来ない、という事である。身を翻してヴィータちゃんに接敵、魔力を込めてコーティングしたレイジングハートで彼女の胴を穿つ。えぐり込むように入った突きは、ヴィータちゃんの戦闘継続を不可能にさせる威力を誇り、そのまま蹲る。
「三人目ッ!」
そして後方支援なのに勝利を確信して前に出て来たシャマルさんは反応が追い付けずに、未だに硬直している。そんな彼女に私はヴィータちゃんを突いた姿勢のまま、レイジングハートの矛先を向ける。
だけどここでトランス・ダークを使用して10秒経ってしまったから、安全のために解除する。先程の圧迫した雰囲気が収まって、怒涛の反撃が終わったのかと一瞬思うシャマルさんだけど、それは間違いである。なぜなら、この場には先程までの長期戦で使われた魔力が散乱している。それを集めて解き放つ魔法を、今一度披露させてもらう!
「アバババババッッ!!!???」
あ、ごめんヴィータちゃん。魔力チャージの巻き添え喰っちゃってるけど、外してる暇が無かったんだ。悪いけど、大人しく受け止めてね。
「スターライ―――うぐッ!?」
突然私の胸から手が出て来て、リンカーコアを摘出されてしまう。視界の向こうでシャマルさんが光の膜に手を入れている事から、恐らくこれは彼女の魔法だろう。
しまった……完全に詰めを誤った、これは私のミスだ……。魔力もエナジーも枯渇して、痛みと疲労でもう指を動かす事すら難しい。悔しいが、敗北を認めるしかない……。
「ッ!! な、のは……ちゃん……!」
本人の意識が消えていたはずのシャマルさんが私の名前を呼ぶ。きわどいタイミングだったけど、自我を取り戻してくれたみたい。それを確認してほっと安心した私は、すぐに力が抜けて意識を手放した。彼が全て解決してくれたのだと、本能で理解したから……。
そして私達の戦いに決着がついた同時刻、謎の点滅を繰り返していた闇の書は、ページが勝手に開いて誰も発動していないのに魔法陣が展開される。
そこから……人間の手が出てきた。本の端を掴むと、そのまま力を込めて、ゆっくりと本体が出てくる。これだけ見るとホラー映画を彷彿とさせる画だけど、はやては全然怖く思わなかった。むしろ嬉しく思っていた。なにせ……、
「フッ、やれば案外何とかなるものだな、俺の暗黒の力も捨てたものではない」
「この短時間で、兄様一人にこれまでの認識を木端微塵に打ち砕かれたぞ、私は」
「さ、サバタ兄ちゃん……!!」
「どうした、そんな泣き顔で。……ああ、そうだったな。はやて、誕生日おめでとう」
「サバタ兄ちゃぁ〜〜んっ!!!」
銀髪の綺麗な女性を引き連れて、彼が帰ってきてくれた。二度
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