死闘
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いみたいです。
「トランス・ダーク!!」
『ッ!!』
瞬間、体内の暗黒物質が私の体を糧に周囲に放出され、枯渇した魔力の代わりに暗黒の力が補充される。雰囲気が一変した私に危機感が働いたシグナムさんが、すぐさま剣で突き刺して来た。単純ながら洗練された突きで、満身創痍の私が避ける事も防ぐ事も、本来ならあり得ない。
しかし……殺気のこもった彼女の剣を、私は両手で掴み、辛うじて胸に刺さる寸前で食い止めた。力づくで止めたせいで手に深い裂傷が入り、掴んだ手から剣を伝って血が流れていき、魔力で構成されている白いバリアジャケットを赤く汚していく。
「ッ!?」
本人の意識が無くても、剣を素手で止めた事にシグナムさんは驚いていた。剣を引き抜こうと上下左右に動かすシグナムさんだけど、想像以上に強い力で私が掴んでいるせいで取り戻せずにいた。
「このトランス・ダークはね……暗黒物質が宿った事で、私の中で目覚めた闘争本能を暴走させるようなものなの……」
「……?」
「普通の人に例えると……アドレナリンを脳内に過剰分泌した状態に近くなるんだ。つまりね……!」
ビュンッ! ドゴォッ!!!
剣を離した一瞬で、先程とは比べ物にならない速度でシグナムさんの胴に掌底を放ち、まるで大型トラックに衝突したかのように彼女の体が吹っ飛んでいき、壁に叩き付けられる。
その光景を呆然とした面持ちでヴィータちゃん達が見た後、すぐに私を警戒するように身構える。
「こうやって、通常時より何倍も強くなるんだよ!!」
さあ、好き放題やられた分、お返しをしないとね!
と言っても、暗黒の力は私の体や精神に負担が大きいから、ちゃんと人間に戻れる最低限の制限時間を設けている。今の私がトランス・ダークを使ってても大丈夫な時間は、せいぜい10秒。
たった10秒だけど、されど10秒。トランス・ダークを使用している間は、お兄ちゃんやお父さんに匹敵する身体能力を得ている。神速のような人間を越えた技を武器とする御神の剣士にとって、10秒というのは相手を制するのに十分過ぎる時間だ。
「まず一人……!」
ヴォルケンリッターのリーダー的存在のシグナムさんが一撃でやられた事で、たった一発でも脅威と判断したザフィーラさんがヴィータちゃんとシャマルさんの前に出てこちらに先行してくる。突貫して放たれた彼の拳は、私に届く寸前に張られた桃色のシールドによってほんの一瞬阻まれる。
「二人目ッ!」
残り少ない魔力で作ったプロテクションはすぐに壊れるけど、それで稼いだ数瞬の間にレイジングハートで抜き胴を放つ。デバイス越しに鍛え上げられた彼の筋肉の固い感触が伝わってくるが、同時に確かな手ごたえも私の手に届く。
崩れ落ちるザフィーラさんの後ろでは、私の速度に対
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