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リリなのinボクらの太陽サーガ
A's編 覚醒
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な。少しはなのはを見習え! アイツぐらいの不屈の心があれば、少しでも事態が好転するかもしれないだろう?」

「だが……」

こうして会話しているとわかるが、彼女は全てに対して諦めている様子だった。そのせいで自虐的な言葉や、悲観的な思考ばかり発しており、それが無性に苛立ちを湧き立たさせている。知らず知らずの内に、剣を握る手に力が入る。

「はぁ〜……ウジウジウジウジ……! おまえは人を怒らせるのが趣味なのか!?」

「そ、そんなつもりは……!」

「では何だ!? さっきからネガティブな事ばかり言って諦めて……イライラする! いい加減おまえも何かを望め!!」

「え!?」

「未来が無い? そんなの世紀末世界じゃ当たり前だった! それでも人は必死に明日を掴もうと生きてきた! 滅亡が目前にあるのに、絶望が何度も襲ったのに、それでも人は生きてきた! それに対しおまえは何だ!? さっきから運が悪かっただの、運命が定まっただの、おまえ一人の一存で勝手に決めつけるな!」

「そんなの……当然じゃないか! 闇の書はこれまでに多くの主を喰らい、無数の犠牲者を出してしまった! 最初は何とか止めようと足掻いたし、プログラムも改善しようとした! それなのに闇の書は、その努力を全て悪い方向で発揮してしまった! 何度も、何度も、何度も何度も何度も私は足掻いてきた! でも……出来なかった、失敗したんだ!! とれる選択肢は全てやってきたのに、それでも上手く行かなかった事を……私がずっと味わってきた無力感を、おまえは知らないだろう!!」

「本当にとれる選択肢は全てやってきただと? 笑わせるな! 世界には無限の可能性がある。そもそも俺が今も生きている事すら、その可能性のおかげなのだから、諦めるのはまだ早いだろうが!!」

「だが、おまえ一人で何ができる? 何もわからず足掻いた所でどうにもならない、結局闇の書の力に屈するだけだ! これまで協力的だった人間のように、そしてこれからもきっとそうなる……!!」

そう言い放って彼女は足掻き続けて疲れてしまった者だけがする悲壮感漂う表情を見せる。なるほど、プログラム体とはいえ、彼女も心が摩耗してしまったのか。なのに自我が未だに残っている。長い年月における無用な殺戮で心が壊れててもおかしくないのにな……。そこは称賛に値する。故に……放っておけない。
徐に俺はゆっくりと彼女に近寄っていく。そして悲観に満ち溢れた彼女に言い聞かせるように、言葉を紡いでいく。

「……おまえは……俺に闇の書の呪いを甘く見ている、と言った。なら逆に……俺からも言わせてもらおう」

「……?」

彼女の傍に来ると、暗黒剣を上に構える。俯いている彼女にはそれが見えていないが、別の彼女を斬る訳では無い。斬るのは……鎖だ!


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