A's編 覚醒
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は思っておらず、正直に驚きはしたものの、すぐに取り直して声をかけてきた銀髪の女性に目を向ける。
「おまえは何者だ?」
「私か? 私は闇の書の管制人格だ。と言っても、権限は無いにも等しいが……」
そう言うと、全身がどす黒い蛇の形の鎖に巻かれて一見するだけで自由が利かないとわかる彼女はず〜んと落ち込んだ。はっきり言って、ネガティブな奴だな。まるで昔の誰かのようだ。
「おまえが吸収された理由は、恐らく暴走した防衛プログラムが主以外近づけないはずの起動時に何故か近づけた外部因子に対する緊急措置として、ここに隔離させたのだろう。この闇の牢獄の中にな……」
「牢獄? ならばさしずめ俺は囚人で、おまえは監視員か」
「間違っていないが、少し足りない。正確には私も囚人であることだ。永遠に抜け出せない呪いの鎖に縛られた、な……」
彼女は床から伸びて自らに巻き付いてある鎖を見下ろし、自嘲気味につぶやく。まあ、いくら強力な魔導師でも、魔力を吸収され続けるこの場所では魔法も使えず、鎖に縛られれば更に自由も効かなくなる。つまり牢獄に相応しいだろうな。
魔導師にとっては、だが。
「ここに投獄されて抜け出せた者はいない。おまえが外で何をしたのかは知らないが、防衛プログラムに捕らえられた以上、運が悪かったと諦めるしかない」
「そうか」
「そしてここでの私の役割は、おまえを永遠の眠りにつかせること。闇の書が魔力を蒐集していない以上、今の私ではこれぐらいしか出来ないのだが、これでもれっきとした管制人格だ、役目はしっかり務めさせてもらう。可能な限り幸せな夢にするから、それで勘弁してもらいたい……」
「フッ……眠りにつかせる? 幸せな夢? 俺がそれを受け入れると本気で思っているのか?」
「おまえこそ、闇の書にかけられた呪いの力を甘く見ているのではないか? それに……この本に見出された者に救いは無い。主にさえ、魔の手を伸ばしてしまうのだから……。もうわかっているだろうが、主の足が麻痺している理由は、闇の書が主の魔力を執拗に吸収し続けた影響なのだ……」
この場合、主は恐らくはやての事。つまり、この闇の書ははやてに危害を及ぼす存在であると判明したわけだ。
「それならば余計、アイツの兄の俺が安穏と寝ていられる訳が無いだろう」
「主の兄様だったのか。謝って済む問題ではないが……すまない、私のせいで主の未来どころか、おまえのような家族すらも奪ってしまった」
「そう決めつけるのは早計じゃないか? まだ何も終わっていないだろう」
「いや……闇の書は既に起動してしまったのだ。もう破滅の運命は定まってしまった、今更足掻いた所で、どうも出来ないよ……」
「……この世界の人間は、どうも諦めが早い奴が多い
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