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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百六十六話 戦争計画  
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「イゼルローン要塞を七個艦隊で攻めると御考えのようですが少なくは有りませんか? フェザーン方面に偏重しているように見えますが」
今度はグルック運輸尚書だ。自信無さげなのは軍事に疎いせいかもしれない。シュタインホフ統帥本部総長がヴァレンシュタイン元帥に視線を向けるとヴァレンシュタイン元帥が頷いた。

「問題は無いと考えています。詳しくは軍事機密に属するためお話し出来ませんがイゼルローン要塞攻略は現状の兵力で十分可能です。御安心下さい」
司令長官の言葉にグルック運輸尚書が困ったような表情をしている。他にも何人か似た様な表情をしている人間が居る。司令長官を信じて良いのか迷っているのだろう。それほどまでにイゼルローン要塞は堅固だと思われている。

「イゼルローン方面よりもフェザーン方面の兵力が多いのは反乱軍にフェザーン方面が主攻でイゼルローン方面が助攻だと思わせるためです。おそらく反乱軍は兵力の大部分をフェザーン方面に集中させるでしょう。しかし実際にはイゼルローン方面が先に回廊を突破する筈です。そうなればフェザーン方面の反乱軍も退かざるを得ない」
「信じて宜しいのですね」
「もちろんです」
司令長官が断言するとグルック運輸尚書が頷いた。

「反乱軍がイゼルローン要塞、フェザーンを放棄して領内奥深くに帝国軍を引き摺り込もうとする。その可能性は有りませんか?」
シルヴァーベルヒ工部尚書の問い掛けに彼方此方でざわめきが起きた。イゼルローン要塞を放棄する、フェザーンを放棄するという事が驚きなのだろう。

「可能性は有りますが反乱軍がイゼルローン要塞、フェザーンを放棄するのは難しいと思います。反乱軍は市民の権利が強い、彼らが放棄に納得出来るかどうか。反乱軍の首脳部は市民感情を慮って決断出来ないのではないか、そう考えています」
尚書達が頷く姿が見えた。

「もし彼らが両回廊を放棄しても問題は有りません。我々は遠征の期間は一年間を想定しています。反乱軍の勢力内で根拠地を作りじっくりと攻めるつもりです。既に根拠地となる惑星も情報部の調査により想定済みです」
司令長官の言葉に彼方此方から満足そうな声が上がった。大丈夫だ、準備万端、問題は無い。

「他に質問は有りますかな」
「……」
質問が出ない。軍務尚書が満足そうに頷いた。
「無ければ次に補給計画について兵站統括部より説明します」
軍務尚書の言葉に兵站統括部の士官が“それでは補給計画について説明致します”と声を発した。

補給計画の説明が終ればフェザーンの占領計画、そして同盟との講和条件、保護領化と三十年後の併合について説明がある。そしてフェザーン遷都……、新たな銀河帝国の成立だ。宇宙は統一されるのだという事を誰もが納得するだろう……。



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