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君は僕に似ている
4部分:第四章
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第四章

「あいつ等だけは」
「わかった」
 俺は声の高さを落として答えた。
「そうして平和を手に入れるんだな」
「セルビア人がいなかったら平和になるんですよ」
 彼の平和がだ。それになっていた。
「あいつ等がこれまでの戦争を引き起こしてきたんですから」
「セルビアがか」
「そうですよ。だからあいつ等を倒します」
 平和を言いながらも。殺意も述べていた。
「そうしますから」
「わかった。それならな」
「はい、俺はやりますから」
 また言った。俺に対して。
「これからも宜しく御願いします」
「なあ」
 俺はだ。彼の言葉が一旦止まったところで声をかけた。テレビのある部屋はそれが置かれている台の他は粗末な椅子があるだけだ。絨毯もカーテンも何もない。コンクリートの壁と床だけだ。それがたまらなく寒かった。
 けれど寒いのはコンクリートのせいじゃなかった。他にあった。
 それを感じながら。俺は彼に話した。
「これからな」
「これから?」
「少し。何処かに行かないか」
 こうだ。声をかけた。
「何処かな。他の国にな」
「クロアチア以外の国にですか」
「イタリアにでも行かないか?」
 あの国には戦争がない。だからこその言葉だった。
「イタリアにだ。行かないか」
「どうしてなんですか?」
「いや、戦いは終わったんだ」
 とりあえずはだ。言葉の外にあるその言葉は隠した。
「だからな」
「それでなんですか」
「ああ、どうだ」
 また彼に言った。
「行かないか?二人で」
「そうですね。悪くないですね」
 彼もだ。爽やかな笑顔になって俺に答えてきた。
「ずっと戦いばかりでしたしね」
「やっと平和になったんだ。それだったらな」
「ええ、わかりました」
 その笑顔でまた答えてくれた。
「イタリアに」
「イタリアの何処に行くかはまた考える」
 それはこれからだった。そこまでは考えていなかった。
 ただ彼を戦いから出したかった。それでだった。
「そうするからな」
「そうしますか」
「ああ。じゃあな」
「はい、わかりました」
 とりあえずだが話は決まった。俺達はイタリアに行くことになった。
 そしてだ。イタリアに旅立つ時にだ。俺は彼に問うた。
「イタリアは好きか?」
「嫌いじゃないですね」
 微笑んでだ。俺に答えてきた。俺達は軍服から旅の姿になっている。思えば軍服以外の服もだ。長い間着ていなかった。本当に久し振りだった。
「明るくて楽しい国らしいですね」
「ああ、そうだ」
「そうした国にしたいですね」
 その目に希望を宿してだ。俺に言った。
「是非ね」
「そうだな。本当にな」
「じゃあ行きましょう」
 俺に顔を向けて。ここでは明るい声だった。
「それじゃあ」

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