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リリなのinボクらの太陽サーガ
現出
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「は? アルハザードは虚数空間の先にあるのよ。それなのに虚数空間の穴を閉ざせなんて、どういうつもりよ?」

「このままではヤツが来る……! 全てを破壊する獣が……俺と共にこちら側に来てしまったヤツが!!」

ドゴンッ………!!!!!

先程よりも激しい振動。時の庭園の一部がその振動で更に崩れていく中、俺はプレシアの背後に開いていた一際巨大な虚数空間の穴から這い出てきたバケモノを視認し、間に合わなかったかと憎々しく舌打ちする。

「な、なに……これ?」

プレシアは自らの目を疑う存在を見て呆然としていた。人の身をはるかに上回る巨大な白い人骨の右手、黒い人骨の左手、それが虚数空間の穴の縁を掴み、本体を現実世界に引きずり出そうとしていた。

「俺と分離してどこに行ったのかと思えば、まさか虚数空間の中にいたとはつい先程まで想像もつかなかった……。だが来てしまった以上、ここで食い止めるしかない! さて、おまえ達全員、今の内に覚悟しておけ!」

「覚悟って、お兄ちゃん……何を……」

「言わなくともわかるだろう、コイツから漂う“死”の気配を。星をも破滅させる圧倒的な破壊衝動が!」

そう言っている間にヤツは虚数空間から一気に乗り出し、現実世界に現出してしまった。恐竜の骨格のような大あご、それに守られる単眼、背中に無数に突き刺さった剣、ガイコツで構成された身体。全身から漂う圧倒的な“死”のプレッシャー。

ギィィィイィィィイィィィッッッ!!!!

ヤツの金切り声が時の庭園全体に轟き、この場にいる全員が凄まじい怖気を感じていた。そして……俺はこのバケモノの名を口にする。

「これも因果か……今度こそ永遠の眠りについてもらうぞ! 破壊の獣、ヴァナルガンド!!」

世紀末世界より続いた破壊の獣との決戦は、ここに再び開かれる事となった。



さて……俺がヴァナルガンドの存在に気付いたのは、少し前に時の庭園を襲った振動によってである。あの地震は虚数空間の奥から這い出ようとしていたヴァナルガンドによって引き起こされたものであり、その際ヤツの身体から大量の暗黒物質が溢れ出て来ていた。アルフと共に玉座の間に急いでいた俺は、その暗黒物質によってヴァナルガンドの気配を察知し、ヤツを解き放てばこの世界の地球だけでなく次元世界全ての生命が滅ぶと判断した。そのためプレシアにすぐ虚数空間の穴を塞ぐよう言ったのだが……結局間に合わなかった訳だ。

再びヴァナルガンドが雄叫びを上げると、胴体から発せられる凄まじい力でこの部屋にいる存在全てを吸収しようとしてきた。

「くっ……! 不足している月下美人の力を求め、再び俺を取り込むつもりか!」

プレシアも含めた全員がその場に踏み止まって堪えるが、吸引に耐え切れず留め具が壊れて、
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