現出
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を捕まえられるとでも?」
「あら、人間の力をあまり舐めない方が良いわよ。先程の言葉からあなたも一度人間に敗れているみたいだし、私たちの世界を守るのはこの世界に生きる私たちの務めだもの。世紀末世界の人にできて私たちに出来ない道理はないわ!」
「……いいでしょう、では証明してみなさい。もっとも……それが出来るのならね!」
対峙していたリンディと“白装束の少年”がぶつかる……かと思いきや、少年は不敵に笑うだけで攻撃はしてこなかった。何をしてくるかわからず警戒していたリンディの耳元に、突然少女達の悲鳴が響き渡る。
「な、なにっ!?」
少年に対する警戒を緩めないまま、リンディは艦内に通信を繋げる。その際視界で以前も現れたヴァンパイアが月村すずかを捕えてアースラから脱出してしまっていた。咄嗟にチェーンバインドを放つリンディだったが、魔力の鎖はヴァンパイアにたどり着く前に“白装束の少年”から放たれた鞭で弾かれてしまう。
「あなた達……! 彼女をさらってどうするつもりですか!」
「いずれわかりますよ。それより他の人間の様子を確認してはどうですか? 彼の事だ、放っておけば死に至る傷を負った者もいるかもしれませんよ? ウフフフフ……」
「……くっ!」
艦長として他のクルーや地球の関係者の命も預かっている以上、月村すずか一人に意識を集中させる訳にもいかないリンディは歯噛みしながら艦内の様子を確認する。映し出された映像では突然襲ってきたヴァンパイアと戦った局員が通路や部屋で血を流して倒れていた。
そして先程まですずか達がいたブリッジでは、車イスから転げ落ちて動けない自分に無力を感じ涙を流すはやて、主を守ろうとしたものの力及ばず倒れているノエルとファリン、大事な妹を取り戻そうと傷だらけの身体で這ってでも追い掛けようとする忍の姿があった。
「あのヴァンパイアはわたくしの完全な手駒です。月村すずかはわたくしの手中に落ち、彼女の生殺与奪もわたくしの意のままです」
「卑怯な……!」
「あなたの悔しがる顔も中々見物ですが、ここの用事は済みました。あなた方は自らの力不足を思い知りながら、そこでわたくしの目的が成就される様を見届けるがいい!」
「なっ! 待ちなさい!!」
慌ててリングバインドを放つリンディだったが、そこにいた少年は異次元転移で姿を消してしまった。さらわれたすずかの身を案じるが、自分がここから離れたら次元震が発生してしまうため結局動けず、全ては時の庭園に突入した彼らに託された。
「ごめんなさい、すずかさん。ごめんなさい、サバタさん……彼女を……頼みます」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「母さん、お話しがあります。……最初はアリシアの代わりとして私は生まれたのかもし
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