運命の竜巻
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かけたそうな顔をしている事に気付いたおれは手招きで彼女を呼ぶ。
「あの……?」
「悩みや疑問があるならさっさと言った方が良い、それが自分にとって大事な内容ならな。時間は少しならある……話してみろ」
「……はい。では……サバタさんは私たちをどう思っていますか?」
「近所の子供」
「た、確かに一言でまとめればそうですけど……そうじゃなくてですね?」
「―――吸血鬼の事か?」
「ッ……はい。もう契約が済んだのにまた蒸し返すようですみませんが、サバタさんは私たち夜の一族をどう見ているんですか?」
こちらを見つめるすずかの目は不安に揺らいでいるように見える。彼女達の境遇は世紀末世界の魔女とほぼ同じだから、恐らく“ひまわり”やカーミラと同じような思いを抱いている可能性がある。……彼女の心の歪み、少し見ておくか。
一度おさらいするが、月村家こと夜の一族は人間の血液を摂取する代わりに高い知能や人間以上の高い身体能力に長い寿命、そして魔眼のような異能を持っている。一見すればバケモノと揶揄されてもおかしくない存在ではあるが、イモータルと違い吸血した対象がアンデッド化するような事は無い。そしておれだから何とか気づくぐらい薄い闇の気配から、彼女達は月光仔に近い存在なんじゃないかとも推測した事がある……実際はどうか知らんが、わざわざ調べる気は無い。故に今、おれが彼女達夜の一族をどう見ているかと答えるならば……、
「イモータルと違い倒す価値の無い吸血鬼で、そちらの都合上同盟を結びはしたが、はっきり言って大して興味が無い存在だ」
「きょ、興味が無い、ですか……。今まで夜の一族の事を知ってしまった人は根掘り葉掘り聞こうとするのに、そんな風に言われたのは初めてです。でも吸血鬼の事を憎く思ったりは……」
「……まさかと思うが、クイーンの事を気にしているのか? おれを元々の家族から引き離した吸血鬼の事を憎んでいるんじゃないかと、おまえはそう思っているのか?」
「ええ。……覚えていますか? 初めてサバタさんと会ったあの日、アリサちゃんと誘拐された私は彼女を巻き込んでしまった責任と共に、家族ともう会えないかもしれない苦しみを強く感じました。私がそう思ったように、誰だって家族と引き離されるのは辛いです。でもサバタさんはヴァンパイアによって引き離された。だったら人生を歪めた吸血鬼の事を憎んでてもおかしくない、そう思いました……」
「そうか……だがその考えは杞憂だ。おれはもう、あの偽りの母を憎んではいない。そして彼女が成り果てたヴァンパイア……吸血鬼そのものに恨みや憎しみは無い」
クイーン……ヘルは母マーニの姉で同じ血を継ぐ月光仔だった。しかし彼女には月下美人に至る慈愛の心を持ち合わせていなかった。月の血が持つ二面性、狂
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