肝試し
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の脳裏に惨劇のイメージが浮かび上がる。
「(前にはやてが面白がってホラー映画を見せたせいで、どんな物も怖く見えちゃうよぉ)」
ちなみにその日、ポルターガイストが発生した時と同様にサバタの寝室にフェイトとアルフだけでなくはやても逃げ込み、はやても自分から見せたくせにホラーに耐性がない事が全員にバレていたりする。所謂自業自得というものだった。
チャリン……!
突然廊下の奥から響いてきた金属音にフェイトは委縮する。しかしジュエルシードを回収しに来た自分たち以外に誰もいないはずなのにどうしてメスが落ちたような音がしたのか疑問に思い、恐怖に負けまいと必死に堪えながら恐る恐る音の根源の方向に視線を向ける。
廊下の奥に白髪の老人がいた。よく見ると彼の足元には光るメスがあり、それが先程の音の正体だとフェイトは気づいた。
「あの……大丈夫ですか?」
元来、フェイトは優しい性格だ。故に道具を落として老人が困っているのではないかと思い、そう尋ねると老人は朗らかな笑みを浮かべて返した。
「ひっひっひ……心配せんでも平気じゃよ、お嬢ちゃん」
「そ、そうなんですか。良かったぁ……」
「それよりお嬢ちゃん、こんな夜中にどうしてこの病院に来たんじゃ? もう子供が来る時間ではないぞ」
「えっと……実はここに探し物があるので、それを探しに来たんです」
「そうか、探し物か。……それはもしかしてコレじゃないかい?」
老人が白衣の中から出した青い宝石、ジュエルシードを目の当たりにしたフェイトはパァッと笑顔を見せて「それです!」と告げた。
「そうか、そうか、コレを探しておったのかい。では渡してあげるからこっちに来てくれるかい?」
「はい!」
言われた通り老人の所に駆け寄っていくフェイト。彼女と老人の距離がさっきの半分程になった時、さっきまで朗らかだった笑顔が急に怪しく狡猾そうに変化した。その瞬間、フェイトは自らの不覚を悟った。
そもそもこの病院は既に潰れている。それなのにこの老人はどこからともなく現れた。自分達のように特別な理由がない限り訪れる意味のない病院の中で、どうして彼が現れたのか。真相はともかく、老人の傍に駆け寄ったフェイトは首元にチクッと針が刺さったような痛みの後、全身の力が抜けてその場に崩れ落ちてしまう。針に痺れ薬か眠り薬でも塗られていたのか、徐々に意識が朦朧となる中、フェイトは何かの寝台に乗せられる感覚と、先程とは打って変わって狂気に満ち溢れた表情をする老人の顔を目の当たりにしていた。
「(お、にい、ちゃん……たす、けて……!)」
言葉も出せない状態でフェイトが助けを求めたのは、義理の兄であった。
「だからこの病院はとっくの昔に潰れている。急患ならさ
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