肝試し
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「あ! アルフさん、今私の名前……!」
「今の穏やかな空気の内に言っておこう。……フェイトと対立してきたおまえの行動には何か意味があるのだろうが、人間という生き物はどうしても口にしなければ伝わらない時もある。なのは、おまえが何を求め、何を為したいのか、今すぐとは言わないがそれを言葉にできるようになれ。ジャンゴと同じくいつも心に太陽があるおまえなら大丈夫だ」
「いつも心に太陽……はい、サバタさん!」
そう告げた後、本来の敵同士の関係に戻ったフェイトとなのはは別れた。去る前に少し雰囲気が緩和した病院に振り向くと、俺達をあの壁の前に誘導してくれた病人服の少女が4階から微笑を浮かべて手を振っていた。
『ありがとう』
声は無いが口はそう動いたのが見え、その言葉を受け取った事で俺が頷くと何かに満足した様子の彼女の姿が徐々に消えていき、次第に何も見えなくなった。
『……………』
俺と同じ方向を見ていたアリスは何も言わなかった。ただ……いつも天真爛漫な彼女は今、病院に向かって静かに祈っていた。
後日、隠し扉が発見された事で再び捜査が入ったあの廃病院では、地下で違法に人体解剖をしていた老人の犠牲となった行方不明の児童たちのホルマリン漬けの遺体が発見され、政府と遺族たちの手で丁重に埋葬されたそうだ。その遺体リストの中に病人服の少女と同じ顔の少女もおり、テレビのニュース越しだが彼女の冥福を祈った。
「ただいま〜!」
「おかえり、なのは。身体は大丈夫? 怪我は無い?」
「うん、お母さん! 今日はサバタさんのおかげで平気だったよ!」
「あら、そうなの? それは何よりで良かったわ」
母の桃子から暖かい紅茶をもらい、なのはは今日の出来事を思い返して結構大変だったなぁと一息つく。それと同時に、夏場でもないのに肝試しのような事をして冷えた身体が温まり、やっと帰ってきたんだと実感していた。なお、この彼女はアースラに搭乗はしていない。
管理局のリンディから魔法について説明があったとはいえ、桃子は末娘にしか対処出来ない事件に母として娘に危険な事はあまりしてほしくない気持ちと、なのはが自分からやりたいと言っている事から背中を押してあげたい気持ちもあって複雑な感情を抱いていた。しかし……なのはに限らず兄の恭也からも何度か話に出て来ていたサバタ、彼の存在が意外な程自分に安心を与えていることを桃子は自覚していた。
「そういえばサバタさんって今日の昼頃に綺麗な女性と来てたマフラーの男の人よね? なのはもあの時ずっと隠れながら見てたっけ」
「えへへ……まあ事情があってね……」
「なのは、もしかして彼の事が好きなの?」
「ぶふーっ!!? な、ななななんでいきなりとんでもない事言うの
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