肝試し
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ものだ」
「これを見つけられたのは、その子のファインプレーのおかげだね」
「ちょっと転んだだけだから、嬉しいような嬉しくないような……」
錆ついた回転扉を完全に開くと、探していた地下への階段が発見された。が、同時に俺の嗅覚がツンとした薬品の臭いと生き物の腐臭を伝えてきた。
「うっ……なにこの臭い……気持ち悪くて吐き気が……」
「な、なんか……嫌な予感がするの……」
「怖いならおまえ達はここで待っていろ」
「そんな訳にはいかないよ、あたしはフェイトの使い魔なんだから!」
「わ、私だってフェイトちゃんの事が心配だもん。絶対行くよ!」
「そうか……なら十分警戒して進むぞ」
しかし恐怖が強い二人は安全のために後衛にしておき、暗黒銃を抜いた俺が先頭を進む。
コツン……コツン……コツン……。
まるで大きな何かに飲み込まれたと錯覚しそうな暗闇を突き進む俺達は、階段を降り切った先にある薄いオレンジ色の電球に照らされた扉の前にたどり着いた。微弱だがこの中からフェイトの気配を感じる。つまり当たりだ。
今回は躊躇する必要は無い。勢いよく扉を開けた俺は部屋の中の情報を瞬時に把握し、寝台にくくりつけられたフェイトにメスを入れようとしていた老人に向け暗黒ショットを撃った。直撃を受けた老人は弾き飛ばされ、フェイトの側から離す事に成功する。
「お、お兄ちゃん……!」
「ぐおっ!? な、なぜここがわかったのじゃ!?」
「親切な病人服の少女が案内してくれたのだ。それより貴様、今フェイトに何をしようとした?」
「何をだと? ふん、ただこの娘の身体を解剖しようとしただけじゃよ」
「かい……ぼう!?」
「フム、そこの少女も解剖のし甲斐がありそうじゃな」
「ヒッ!?」
「答えろ、貴様は何を考えている?」
「ひっひっひ……医学に携わってきたわしは魔法という物理現象を超越した力を目の当たりにした事で思ったのだ! 魔法使いの身体、それは普通の人間とどう違うのか、わしは知りたいのじゃよ。そのために魔法使いを捕えて解剖しようとした! 魔法使いの力の源がわかれば、人類の進化は更なるステージに進む事ができるのだよ!」
なるほど……これは魔法バレによって引き起こされる騒動の一種とも言える。この老人がいつ魔法を知ったのか不明だが、人間の新たな可能性を求める姿勢も国家プロジェクトなどのように規模が大きくなれば正当化される類のものだ。
「だからってフェイトちゃんを解剖しようとするなんて……酷過ぎるよ!」
「何を言う。貴様達が使う薬や治療法は多くの人体実験や臨床試験があって世に送り出されたものだ。人類は自分たちの進化のために、学ぶために多くの命を犠牲にしてきた! そもそも人間が
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