肝試し
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「ならなぜ正体を隠していた? 正直に答えなければ……」
「言う言う言う! 言うからその銃しまって!! なんか近くにいるだけで魔力が消えていくから! 撃たれたら私の使い魔人生が終わりかねないからぁー!!」
なんか大人げなく泣き出してしまったので、話が終わるまで大人しくすると誓わせてからゆっくり話の出来る場所へ移動した。場所は……翠屋である。
「ってまた客として来るのかよ!?」
「来ちゃ悪いか恭也。店商売してるくせに客を選り好みするつもりか?」
「ぐ……い、いらっしゃいませ……!」
「こんなに言い難そうな“いらっしゃいませ”は初めて聞いたわ……」
そうぼやいた元仮面の男だった女性は遠い目をして哀愁を漂わせていた。とりあえず同じ高町姓の札が付いた眼鏡の女性の案内で窓際の席に付くと、適当にエスプレッソコーヒーを注文しておく。
「じゃあ私はウーロン茶とカルボナーラ〜♪ ……あ」
「………………それぐらい奢ってやるよ」
「へぇ……この歳で年上のお姉さんに借りを作らせようとするなんてね。もっと便乗してあげよっか?」
「ほう? なら俺は自分の分だけ払う事にしよう。その代わり金を持ってきていないおまえは無銭飲食になるが、関係がない俺の責任ではないな」
「ごめんなさいマジ勘弁して下さい今ホントに持ち合わせが無いんで奢って下さいお願いします」
「え、えっと……とりあえず注文はもういいのかな?」
おずおずと伺ってきた女性店員……後で恭也から“美由希”と教えてもらったが、彼女は年下の男に頭を下げて飯代をたかろうとしている目の前の女性と俺を交互に見て困惑していた。こんなのは戯れだと告げると、彼女は微妙な顔をしながらも店の厨房にオーダーを告げに行った。
「さて……まずおまえの名前が何なのか教えてもらおうか」
「え〜っと……やっぱり言わなきゃダメ?」
「ダメじゃないぞ」
「え、あれ? そうなの?」
「どこかの白い魔導師のように名前に固執する程興味も無い。害が無ければすぐにでも別れられるのだから、暫定的に呼べさえすればそれでいいのだ」
「そ、そうなんだ……」
「という訳でおまえが名乗らないのなら、呼び名をこっちで勝手に決めさせてもらうが、それで構わないか?」
「私にとっては名乗らなくていいのは渡りに船だから、それでいいわよ。で、今は何て呼ぶの?」
「―――“ねとねと”」
「は!? え? え、ちょっ!? それ私の呼び名!?」
「気に入らないか?」
「気に入らないわよ!」
「では――――“ねばねば”」
「さっきと全然変わってないじゃない!」
「何を言う。“ねとねと”より“ねばねば”の方が健全だろう」
「どこがよ!?
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