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君は僕に似ている
1部分:第一章
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考えてきた。憎くて仕方がなかった。けれどそれがだ。何かが違ってきていた。
 殺し合ってもだ。何にもならないんじゃないかって思えてきた。それでだった。
 目の前のこいつを見た。するとだ。
 鏡を見ているような気がした。少し前までの俺が映っている様な。
 その俺を見てだ。俺は言った。
「何を目指してるんだ?御前は」
「俺ですか」
「ああ。クロアチアが完全に独立したらな」
 どうなるのか。それを尋ねた。
「何が欲しいだ?それで」
「平和に決まってるじゃないですか」
 返答はこれだった。俺の予想通りだった。
「それですよ」
「平和か」
「はい、セルビアの奴等を皆殺しにして」
 こう言うのもわかっていた。実は。
「それで平和をです」
「そうか、わかった」
 俺はその言葉を受けた。
「戦いのない世界が欲しいんだな」
「それ以上に幸せな世界なんてないですよね」
 今度は希望に溢れる目になっていた。これまでの憎しみが少しだけ薄らいで。その目になって俺に話してきた。
「平和だったら。父さんも母さんも」
「妹さんもだな」
「死ななかったですし」
 だからだというのだった。
「だから俺は」
「平和か」
 俺はその言葉をまた口にした。

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