契約
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を結ぶのなら、それで契約成立となる。
「ここであえて拒む選択を選んだらどうなるのだろうな……?」
「それはお願いだからやめて! サバタの場合、ヴァンパイアに育てられているから私の暗示でもその事実を忘れさせる事は出来ないの!」
「冗談だ」
「フフ……最近サバタ兄ちゃん、時々冗談を言うようになったなぁ。……計画通りや!」
「はやてェ…………」
「何だろう、サバタがはやてのせいで変な方向に染まってきた気が……」
む……そうなのか? 確かにこの世界に来てからはやてに勧められるまま色々しているが、いつの間にか知識が変な方向で豊かになっていたようだ。しかし別段困っている訳でもないため、余程気にならない限り無視していても良いか。それはそうと……、
「月村忍、おまえは今“暗示”と言ったが、それは洗脳に類するものなのか?」
「聞こえは悪いけど、まあそんな感じよ。単純に言うと魔眼を通して対象の心理を操作、行動原理に刻み込む仕組みなんだけど、それがどうかしたの?」
「……いや、諸事情で洗脳や暗示といった能力に忌避感や嫌悪感があってな。そんな力をおれに向けて使おうものなら間違いなくキレていたな」
「サバタ兄ちゃんがキレるって余程の事やね。一体何があったんや?」
「ま、知ってもつまらん話だ。……とあるイモータルに一度操られた結果、俺が世界を滅ぼしかけたというだけのな」
「え…………!?」
サバタは淡々と返したが、その内容の壮絶さは周囲の人間全員を絶句させるのに十分だった。たった一度、たった一回の洗脳がきっかけで、サバタが自分たちが想像もつかない程の喪失を味わっていた事を思い知った。
「わ……私、また迂闊な真似をする所だったわ……」
そして実は契約に応じる応じないに関わらず、サバタに『自分たちに危害を加えない』暗示を念の為かけようと内心で画策していた月村忍も、その一回がサバタにとってどういう意味を持っているかを理解した、してしまったのだ。いくら家族を守るためとはいえ、洗脳のせいで唯一の肉親を手にかけてしまい、更に世界の敵にされた経験があるサバタに暗示をかけようとは流石にもう思えなくなっていた。
実際は暗黒物質を介さないものなら月下美人の力で耐性を持っている事で無効化できるため、結局暗示はかけられないのだが。
そしてもう一つ、月村忍は心の底から理解した。敵対している者には割とよく使っていたが、実はたった一つの暗示がすべてを狂わせる可能性がある事を。
「……世界を滅ぼしかけたって、サバタさん、一体何がどうしてそんな事に……?」
誰もが言葉を噤むほどの重い空気の中、意を決して月村すずかは真相を尋ねた。そんな彼女にサバタは軽く苦笑を漏らすと、「余計な事に興味を持たない方が身の
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