激突
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だよ』
[余計な真似を……]
『とか文句言いつつ、手を差し出すお兄ちゃんであったとさ♪』
にんまり顔で微笑むアリスの様子を癪に感じながらも、おれはアリサに「悩みなら聞くが?」と尋ねる。おれから話しかけてきた事が予想外だったのか、アリサは一瞬目を丸くするが、すぐに暗い表情になる。
「第三者のアンタなら話してみるのもいいかもね。……大事な友達が隠し事してたら、私はどうするべき?」
「内容にもよるが……その友達は隠し事が多いのか?」
「ううん、時々凄く頑固になったりするけど、いつもは隠し事が出来ない程素直な性格。だから今回のように頑なに隠すという事はすっごく珍しいの」
「そうか」
「でも最近のあの子は授業に身が入って無いし、パッと見て妙に疲れてるっていうか……ずっと上の空なのよ。私たちが話しかけても時々聞こえてないみたいだし、私たちに黙って何かしているんじゃないかと心配に思ってその子に訊いたんだけど、なんかお互いに熱くなり過ぎて喧嘩になっちゃった……」
「………」
「私はただ、その子の力になりたいって思っただけなのに……どうして……どうしてこうなっちゃったんだろう」
話している途中からその時の感情を思い出して来たのか、胸の高さまで持ち上げた手を見つめて僅かに涙声になったアリサ。詳しい内容はともかく大体の経緯は把握した。
「少し聞かせて欲しい。おまえにとって友達とは隠し事をしない仲の事なのか?」
「ちょっとオーバーだけど前はそんな風に思ってた。でもアンタも一応知ってるでしょ? 月村家のアレ」
「ああ……アレか」
初日からずっと放置し続けているから、向こう側はとっくに堪忍袋の緒が切れているかもしれないな。
「すずかは私たちの関係を壊さないためにその事を隠していた。その一件から私は友達を巻き込まないために隠す事もあるんだと気づいたのよ。だから今回の事もきっとそんな感じなんだろうなぁって予想はつくわ」
「ほう? そこまで考えが及んでいるなら、何を悩む必要があるのだ?」
「何と言うか……その、やっぱり私の性分なのかな。どんな物事もはっきりさせないとどうしても気が済まないのよ。でもあの子は具体的な事は何一つ教えてくれなくて頭にきちゃって、それでつい……」
「なるほど……結論から先に言うと、おまえは単に拗ねているだけだな」
「拗ねているだけ?」
「友達が自分に何も話してくれない事を寂しく思い、力になれない事を悔しく思った。それで自分の思う通りに上手く行かない事に、おまえは子供らしく拗ねたのだ」
「あぁ〜……口に出して言われると少し癪だけど、なるほどってくらい納得できるわ。そうね、私は思った事が出来なかった事に拗ねている。ってか実際に子
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