激突
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るんよ。知らん間にふらっとどこか遠い所……私の手の届かない所に行ってしまうんやないかって……」
「……………」
「嫌や……。知らない場所で勝手に傷ついて、勝手にいなくなるなんてのは嫌なんや……。人のため、世界のために戦う。立派な大義名分やけど、そんなのよりも私はここに帰って来てくれる方がもっと嬉しいんよ。サバタ兄ちゃんとフェイトちゃんとアルフさんが帰って来て、皆であったかいご飯を一緒に食べたり、一緒に出掛けたり、一緒に遊んだり、一緒に寝たり……それだけで私は十分幸せなんや。だから……無茶とか危険な事とかして帰って来れへんような事になったら、絶対に許さへんから。帰って来なかったら私は這いつくばってでも探しに行くから」
コンプレックスを自ら皮肉にしてまで言うとは……はやてなら有言実行しそうで怖いな。可能性は低いが下手したら世紀末世界にも自力でたどり着くんじゃなかろうか? ……流石に死者の世界にまでは来れないだろうが。
『私が普通に逝ってたら着いた世界だね。ところでお兄ちゃんは何で死後の世界があるのを知っているの?』
[気まぐれで手を貸した奴らが知っていたのを教えてもらっただけだ。それよりアリス、時の庭園で苦しそうにしていたが、何か思い出したのか?]
『思い出したって言うより、こう、胸の奥……魂の方から何かが頭に響いている感じだったんだ。語彙が少ないから、ちょっとわかりにくいと思うけど』
[謝らなくていい、魂の修復が進んでいる証拠だろうから大体の状態は察せられる。念のため、おまえも休んでおけ]
『りょ〜か〜い』
とりあえず、今日の夕食まで甘んじてはやての説教を受けるとするか……。
それからしばらくの間はジュエルシードが発動しなかったため、戦いも無く平穏だった。おれは出かける度に例のヴァンパイアを探しているのだが、この近くにある山の方に行った時に一度気配を感じたものの、すぐに逃げられてしまった。そもそも今日まであいつを放置しているのにアンデッドが蔓延っていない現状がある意味奇跡的でもある。が、楽観視は出来ない。可能な限り早く探し出さなければ……。
「あ……!」
内心で焦燥感が走っているというのに、このタイミングで出会うか、アリサ・バニングス!
「……はぁ……やっぱ今はいいや」
「……?」
明確にしたがる彼女の事だから引き留めたりすると考えていたのだが、予想に反して彼女はその場に留まり、物憂げにため息をついていた。
『なんか様子が変だね、あの子。どうする?』
[アリス、なぜわざわざおれに訊く?]
『ぶっちゃけ幽霊の私を保護する程、お人好しなお兄ちゃんが目の前で困ってる人を本気で放置するとは思えないからね。ちょっと背中を押してるだけ
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