衝突
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。
「―――たっ―――10個―――――わね」
「―――なさい―――母さ―――」
「…………?」
扉が分厚いせいか、あまり中の様子が伝わってこない。僅かに漏れてくる声も何を言っているのか解読できない。心臓の鼓動などの雑音を無視し、精神を集中、瞼の裏に薄らと扉の先の空間を投影する。
―――――バシッ!!
空気がしなる音の直後に響いた打撃音。この音を出す物と言えば……鞭?
待て、何故親子の会話に鞭が出て来る? 眉を顰めて更に注意深く聞くと、鞭で叩く音と同時に、聞き覚えのある声が苦痛を訴える声も存在していた。
「……サバタも聞こえたよね? フェイトの母親は、こういう女なんだよ……!」
「そうか……」
「いつも……いつも、あの女はフェイトにこんな事をする。でも……あたしじゃフェイトを助けられない。だから……だからお願いだサバタ! あたしの主人を……フェイトを助けて!! 一生のお願いだから、頼むよ……!!」
「…………」
言葉の代わりにおれは無言のまま重厚な扉を静かに開ける。中では幾度もぶたれておびただしい傷を負ったフェイトになおも鞭を振るう紫色の長髪をした妙齢の女性がいた。激した訳では無いが、おれはそのフェイトを攻撃し続けている女性の手元を、未来予測も含めた狙いを定めて暗黒ショットを撃つ。
「ッ!!?」
迫る暗黒の弾丸に気付いた女性が鞭を持つ手を反射的に防御に動かした事でまんまと射線に入り、ショットが鞭だけに直撃して粉砕させた。
「フェイト!!」
アルフが急いで倒れているフェイトに駆け寄る。フェイトの事は後は彼女が何とかしてくれると判断し、おれはこちらを睨み付けてくる女性と目を合わせる。
「あなたからは妙な力を感じる……一体何者?」
「……暗黒少年サバタ」
「暗黒少年……? 随分変わった力を使うようだけど、それよりしつけの最中に横入りしないでもらいたいわね」
「フッ、鞭で叩く事がしつけか? あまりに品の無い教育だな」
「何ですって? もう一度言ってみなさい」
「いいだろう、野蛮なだけで礼儀も一切無い教育だと言ったんだ。そんな自身の衝動を抑える事にしか役立たない教育法なぞ、するだけ無駄なのだよ」
「何も知らないくせに、言わせておけば……!」
「そちらも知らないだろう? おれの育った暗黒の世界、本当の暗黒を」
互いに微動だにしないにらみ合いが続く。目線で火花が散る様な眼力の衝突は、くぐもった声をフェイトが上げた事でそれる。
「うぅ……お、お兄ちゃん、ダメ……プレシア母さんをこれ以上、困らせないで……」
「何言ってるんだよフェイト! サバタは助けに来てくれたんだよ!」
「
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