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渦巻く滄海 紅き空 【上】
八十三 音の五人衆
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「大蛇丸の許へ行く」
眼を見張った綱手の前で、サスケは堂々と悪びれずに言い放った。

「今夜、里を抜ける」











「―――それを私に話した訳はなんだい?」

一瞬愕然としたものの、すぐさま我に返った綱手はサスケを鋭い視線で射抜いた。
里の長である火影にわざわざ里抜け宣言をした、目の前のふてぶてしい少年をじろりと睨む。

「別れの挨拶でもしに来たのか?随分殊勝なことで」
「……………」
子どもの割に寡黙なサスケを綱手は怪訝な顔で見遣った。

「だがあいにく私は里抜けを黙って見送るなど寛容な人間じゃないよ。それを知った上で私に会いにきた理由をお聞かせ願おうか」
言葉足らずの少年から話を聞き出そうと綱手は待った。話を聞く姿勢を決して崩さぬ彼女の態度を見て取って、サスケは逡巡する。

暫し戸惑う素振りを見せた後、とうとう観念したのかサスケは自分の考えを語り出した。
「大蛇丸の部下が俺を勧誘しにきた。だから俺はその誘いに乗って……」
サスケの話は綱手にとってある意味予想の範囲内であり、そしてまた意外な内容だった。


「木ノ葉のスパイとして大蛇丸の許へ向かう」
「………なんだと?」


独自で下したサスケの結論に、一驚した綱手は思わず腰を浮かせた。立ち上がりかけたまま、「本気か?」と鋭く訊ねる。

「大蛇丸の懐にわざと潜り込むつもりか。それで何時の間にか奴の手下になっていないという確証が何処にある?」
「万が一そうなったとしても、俺は大蛇丸を利用するだけだ。力を手に入れる為にな」
「…寝返る可能性があるのに、どうやってお前の里抜けを許すと言うんだい?」
「あんたは火影だ。だから今から俺が行う事は里抜け含め、任務だという事にしてくれ」
「そんな危険な任務、この私が許すと思うか?第一、スパイっていうのはそんな簡単なものじゃないよ。口で言うのは容易でも実際に行うのは困難極まりない。敵の信頼を得た上で、その情報を此方に流す。そんな芸当がお前に出来るのかい?」
「―――やってみせるさ」

怒涛の応酬を繰り返したところで、サスケの瞳に込められた強い意志は揺るぎ無い。
再び口を開きかけた綱手だが、サスケの鋭い眼光を前にしてとうとう諦めたように首を振った。ドカッと椅子に座り込む。


確かにサスケが取る方法は大蛇丸の情報を手に入れるのに一番確実だ。大蛇丸は基本慎重な男であり、疑わしい人間を傍に置いたりはしない。
だがサスケは別だ。今回意外にも早く動いたのも、うちはの能力を欲するあまりだろう。
サスケの性格や行動パターンを考慮していたとしても、まさか火影にスパイなどという提案を話すとは大蛇丸とて予想外に違いない。
故にサスケの案を呑むという事は、大蛇丸から木ノ葉が一
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