第八話
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となのだが、こいつは夢と違う形で俺を殺してくることはないし、あの夢も一度全部終わってから新しい物を見る。なら、夢の内容であった、突進してきた勢いでナイフを刺されて死ぬ、というのさえ回避できれば、こうしていても問題はない……はずだ。この状態で俺に夢を見せてこれるのなら一瞬で殺されてしまいかねないので、それだけは無いと信じたい。というかこの子、胸大きいな。夢で見た時は分からなかったけど、こうしてみると柔らかい感触が……って、いかんいかん。今はそういう状況じゃない。
「……えっと、ちょっと会話をしたいんだが、いいか?」
「…………………」
無言だった。もう他の表現が無いくらいに見事な無言だった。
まあ、返事がないならこのまま勝手に話をするだけなんだけど。今回は女性だったから役得だし。
「えっと、だな……このままじゃ埒が明かないし、そっちもやめる気はないみたいだしで、もう殺されてやろうかな、とか思ってるわけなんだけど」
「ッ!?」
初めて反応があった。息をのむ気配。今は見えないけど、さっき直前で見た顔は燃えるような赤い髪に整った目鼻立ちのきれいな子だったので、その表情もとても見てみたい。少しツリ目だったから、それもいい効果を出してそうだし。と、それはさておき。
「ただ、まあどうせ殺すならその直前に一つくらいこっちの希望を聞いてくれてもいいんじゃないか、とか思うんだけど」
「…………………………」
相変わらずの無言である。いいけど。言いたいことは勝手に言うから。
「そう言うわけで、どうせ殺すならこっちの希望を聞いてくれ。そう難しくはない……と思うから」
二択で準備してあるけど、一つ目の方は難しいかもしれない。それなら二つ目を選んでくれればいいので、特に問題はないけど。
「で、一つ目が君自身の姿で殺して欲しい。どうせなら、ここまでかかわったやつについて知っておきたいしな」
「……………………………………」
「それが無理なら、美少女か美女か、そんな感じの姿で殺して欲しい。ちなみに、両方とも満たされてる場合がベストだな」
「………どうして、そこまで?」
ここに来て初めて聞いた忌々しげではない声に、俺は少し感動の様なものを覚えてしまった。無感情な声だったのに。
「いや、ただなんとなく……ここまでする以上、何かしないといけないような事情があるんじゃないか、って。でも、そのまま殺されてあげれるほど出来た人間でもないんだ。だから、あんな希望を言わせてもらったわけなんだけど」
そこまでいったところで俺は離れ、正面から顔を見て言う。
「さあ、そんな感じで俺を殺してくれ。それで君が救われるのなら、それでいいさ」
「…………………………………………」
さっきまで抱きしめられて
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