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少年は旅行をするようです
少年は加速するようです Round3
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たんですか。

僕と同レベルとは驚きを通り越して呆れますねぇ。」


まるでやる気無く、ダランと腕を垂らして頭をユラユラと振っている。

改めて・・・いや初めて"ダスク・テイカー"の姿を見る。アバターは宵闇(ダスク)

相応しい黒紫。のっぺりとした頭に赤い単眼、細い身体と手足。それだけならクロウと

大差ないが、それを一蹴する奇怪な両腕。右手には巨大なボルトクリッパーじみた鋏、

対し左手にはニュルニュルした触手。"奪う"能力があるとは言え悪趣味にも程がある。


「仕方ないですねぇ……それじゃ、真面目に相手してあげますよ!!」
ボボボッ
「とっとっ、フッ!」


垂れ下がった状態からいきなり伸びて来た触手を掻い潜り、距離を詰めつつ、

唯一の攻撃武装である暗器もどきの剣で触手を断つ。

俺が迫ると、漸く顔を上げ鋏を突き出してくる。心許無い盾を展開し滑らせるように

防ぎ、至近距離から右手の剣で脇腹を刺し貫く。

ザスッ
「ぐおっ!」

「ふはは、脇が甘い!」

「言ってみたかっただけ、とでも!?生意気な!!」
ジュルルッ

尚もしつこく伸ばしてくる触手を冷静に叩き切り、その中の一つを蹴飛ばしてやる。

狙いに違わず顔面に飛んで行き、嫌そうに避けた頭を更に蹴飛ばす。


「っそーい!!」
ドガァッ!
「ガアッ!?」


吹っ飛んだ細いアバターは廃墟化した体育館の壁を破壊し、中に姿を消した。

防御力は低いのか、今の攻防だけで既にHPは6割程になっている。対し俺は無傷。

しかし必殺ゲージは体育館破壊ボーナスも入ったのか100%溜まっている。対し俺は40%も

溜まっていない。近距離でこれだけボコれば、相手の出方は―――

ボウ――ッ!
「おわぁーーっちゃちゃちゃ!」
バサッ!
「やってくれましたね……でももうこれで決まりですよ。」


破壊された壁の穴から炎が放射され、やむなく離れた隙にダスク・テイカーが空へ飛び立った。

こちらを見下ろす右手には筒状の武装。ホースが何本も伸び、背中のタンクにつながっている。

そして背には今まで無かった、蝙蝠のような羽が生えている。


「遠距離火力に飛行能力ねぇ……。普通の格ゲー並にそんなキャラ出したら叩かれるぞ?」

「へぇ、やっぱり驚かないんですね?奇妙な人だ。」

「うん、まぁそれを返せなんて言わないし、逆にそれを渡すから助けてなんて言われても

俺には意味無いから、先に諦めておくように。」

「減らず口ばかり叩く人ですね。あなたに勝ち目はありませんよ!」
ゴォオオオオオオ!

上空から炎を吐く悪魔から距離を取りつつ走り回り、ゲージを確認する。


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