暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第一章 土くれのフーケ
土くれのフーケ 
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いている(サーヴァント)―――ヴァロナに目を向けた。
 英霊である彼ならば、いかに強力なメイジであろうと盗賊一人捕らえるのはわけないだろう。おまけに隠密行動を得意とし人一倍気配に敏感な暗殺者(アサシン)のクラスならば、恐らくフーケが学院の領土に侵入した時点で気付いていただろう。それを敢えて見逃したのだ。
 架の視線に気が付いたヴァロナは、すっとぼけた表情で目を逸らした。どうやら元から厄介ごとには関わりたくない性格らしい。
 だが、ヴァロナからしたらこれは適格な判断と言える。彼は確かにサーヴァントだが、この学院においては「(もと)没落貴族」なのである。そんな者が一人で名高い盗賊を捕まえたとあっては、目立ってしまうことこの上ない。ここはすっこんでいるのに限るのであった。
 すると、突然学院長室のドアが開け放たれ、「失礼します、オールド・オスマン。」と、オスマンの秘書であるロングビルが入ってきた。

「ミス・ロングビル!どこに行っていたのだね!?今は緊急事態で・・・」
「フーケの居場所が判明しました。」
「なっ!!?」

 ギトーが食って掛かるが、ロングビルの言葉に部屋中の人たちが驚愕の表情を浮かべた。

「ふむ、詳しく説明してくれんかね?」
「町の住民から聞き込みを行ったところ、怪しい人影を見たという情報が複数ありました。情報を頼りに森の方を捜索しましたら、奥に廃屋を発見いたしました。その廃屋からも恐らく同一人物であろう人影が出入りしているという目撃証言もあります。」
「ふむ・・・、それがフーケであるという証拠は?」
「人影の特徴として、緑色の髪を持ち黒いローブでフードを被っていた、というのがありますが・・・」

 ロングビルが確認するようにルイズたちを見る。

「昨日私たちが見たフーケの特徴と一致します。」
「可能性は大、か・・・」

 ルイズが答えると、オスマンはう〜む、と考え込んだ。
そこへ、土属性の教師であるシュヴルーズがオスマンに提案した。

「オールド・オスマン。王室衛士隊に頼んで兵を差し向けてもらっては?」
「・・・無理じゃな。そんなグズグズしてはフーケに逃げられてしまうじゃろう。」
「で、では・・・」
「左様。我々だけで『破壊の杖』を奪還し、学院の名誉に塗られた泥を払うのじゃ!」

「我こそはと思う者は杖を掲げよ!」とオスマンはこの場にいる面々に呼びかけるが、誰もそれに応えるものはいない。皆困ったような顔で互いを見ている。
理由は簡単だ。恐いのだ。トライアングルクラスのメイジに返り討ちに遭うのが。
ヴァロナはチラリとコルベールを見たが、彼が名乗り出る気がないのを察すると再び興味なさげにそっぽを向いた。

「む・・・?どうした?フーケを捕らえて名をあげようという貴族はおらんのか
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