ワールド・カタストロフ〜クロスクエスト〜
Round《2》〜パラドックス・プレイヤー〜
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
鳴った。出番だ。
「よっし、行くか!」
リンは二本の剣を再度抜き放つと、真っ白い転移の光に飛び込んだ。
光が収まると、そこは古代ローマのコロッセオを彷彿とさせる闘技場、その選手入場ゲートだ。どことなくアインクラッド第七十五層の主街区、《コリニア》にあるコロシアムに似てなくもない……が、何なのかよくわからない謎の素材で作られていると言う点で、大きな差異がある。
ゲートを出れば、もうそこはリングだ。広すぎず、かといって狭すぎもしないその場所の、今リンが立っている場所から見て丁度対角線上に当たる場所に、既に一人のプレイヤーが立っている。
ぼさぼさの茶髪に、緑色のバンダナ。人懐っこそうな顔と、和風コートとでも言うべき装備。得物は刀――――
――――ん?
そのときリンは、奇妙な違和感を感じた。無限の記憶の中から、その招待を掴もうとしていると。
「えっと、あんたが《純白の英雄》リンか?」
セモンが語りかけてきた。その表情はさえない。かつて見たその顔と比べると、なんと覇気のないことか。
―――セモンって、こんな奴だったっけ?
「おう、俺がリンだ」
「そっか。知ってると思うけど、俺はセモン。《二重》のセモンだよ。よろしく」
「お、おう。宜しく……?」
――――二つ名が、《神話剣》じゃない……?
リンは彼の世界で冒険したことがあるわけではないので、セモンの異名の一つなのだろう、とは推測できても、それが何なのかまでははっきりと掴めなかった。
それに、そんなことはこの戦いには関係ないだろう。
今はただ――――
「勝つことだけを考えていればいい」
リンとセモンの間に、半透明のウィンドウが出現する。表示されているのは、デュエル開始までのカウント。
減少していくその数字を眺めながら、唯々、勝負が開始されるのを待つ。
そして。
【デュエル!!】
カウントは、零になった。閃光が弾ける。デュエルスタートだ。
「いっくぜぇぇぇッ!」
スキル、《翔翼神》を発動。リンの背中に、十対の翼が姿を現す。純白の装備と相まって、それは死の宣告を下す天使か――――
音速をこえるスピードでセモンへと肉薄し、ソードスキルを発動。その一連の動作に、かの茶髪の刀使いは全く対応できていない。
《英雄剣》専用ソードスキル、《ヒーロー・アブソリュート・レボリューション》。五百連撃をたったの八秒で繰り出す、最速級ソードスキル。
その速度は、対をなす《勇者剣》のソードスキルよりなお速く。
その威力は、現存する全てのソードスキルを上回る。
文句なしに最強クラスのソードスキルは、目も眩むような
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ