3部分:第三章
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第三章
「そちらはこちらが圧倒している」
「はい」
「まずは空から集中的に叩く」
今も変わらないアメリカ軍の基本戦術である。第二次世界大戦でもこれにより無敵とまで言われたドイツ軍の戦車部隊を打ち破ってきている。
「ムスタングやコルセアでな」
「前と同じですね」
「ああ。前の戦争と同じだ」
第二次世界大戦のことである。
「その時と同じだ。まずはそれだな」
「ですね」
ムスタングとはF−51、コルセアとはF4Uのことである。この時やっとアメリカでも空軍ができた。またコルセアは海兵隊でもよく使われていて彼等が上陸の時に使うのだ。
「それで集中攻撃を浴びせるが」
「それとバズーカですね」
「ああ、バズーカは絶対だ」
「ですね」
アメリカ軍はこのバズーカでも相当な戦果を挙げている。後に大統領になるアイゼンハワーはこのバズーカをかなり重用したことでも有名だ。
「それも持って行ってな」
「そして戦車ですが」
最後に話されるのはやはりこれであった。
「連中と同じ戦車ですが」
「まずはシャーマンとパーシングだな」
M−4とM−26のことだ。
「この二つはやっぱり必要だな」
「ドイツ軍の戦車に劣勢だったシャーマンでT−34に勝てますかね」
「援護があればいけるだろ?」
「一対一だったら」
「正直難しいだろうな」
これは言うまでもなかった。ドイツ軍のパンテルやティーゲルといった恐ろしい戦車はソ連軍のT−34に対抗して開発、建造されていった。それでも結局はT−34に敗れた形となっている。なおこういったドイツ軍の戦車に対してアメリカ軍のそのシャーマンは一対一では絶望的なまでに劣勢であったのだ。
「それもかなりな」
「そうですね。やはり」
もうこれはすぐにわかることであった。
「戦車戦だと」
「パーシングでも難しいかもな」
パーシングについても不安視されるのだった。
「正直なところな」
「そうですね。やはり相手が相手ですから」
「パットンか」
不意にこの名前が出て来た。
「あいつに賭けるしかないか」
「パットンですか」
「ああ、M−46だ」
今度はこの戦車の名前が出て来た。
「あれにな」
「そうですね。新型ですし」
「性能はかなりのものなのだろう?」
「はい」
性能についてはとりあえずは太鼓判を押された。
「開発スタッフはそのT−34を超えているそうです」
「だったらまずは使ってみるか」
そのM−46という戦車について言われた。
「少なくとも。空もあるしバズーカもあるしな」
「そうですね。例えそのパットンが駄目でも」
「名前の元のあいつを思えば大丈夫だろうがな」
不意にそのパットンという何かの怪獣映画に出て来るような名前についても言及された。
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