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最後のストライク
4部分:第四章
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な球なのか」
「わかった。受けてみて驚くなよ」
 彼は不敵に笑ってこう言った。かってはプロ野球は職業野球としてあまりいい目で見られてはいなかった。大学野球の方が格式は高いとさえ言われていたのだ。金儲けだと叩かれていた。そうした時代だったのだ。それが変わるのは戦後かなり経ってからのことである。三原脩と水原茂が日本シリーズにおいて遺恨試合を繰り広げ、鶴岡一人が南海を率いてその度量を
示してから。そして長嶋茂雄や杉浦忠、稲尾和久、中西太といった選手達が現われてから。プロ野球が批判されなくなるのはそれからであった。
「俺のボールをな」
「ストライク投げてくれよ」
「一球も外しはしないさ」
 彼はコントロールには絶対の自信があったのだ。
「見ていてくれ、俺のボール」
「ああ。ところでな」
「何だ?」
 今度は本田が石丸に声をかけてきた。
「御前、生まれ変わったら何になるんだ?」
「生まれ変わったらか」
「ああ。何になりたいんだ?」
「また、マウンドに立ちたい」
 彼は迷うことなくこう答えた。
「マウンドにか」
「そして投げたい。俺はそれだけでいいんだ」
「無欲なんだな、御前は」
「御前は違うのか?」
「俺は。打ちたいな」
 本田は顎を少し上に上げてこう言った。

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